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 経営難のJR北海道に対し、北海道の鈴木直道知事は23日、JRが導入する観光列車の車両を取得し、無償でJRに貸し付ける異例の支援策を明らかにした。国が2021年度から3年間で計1302億円を投じる巨額の支援策を示したことを受け、地元自治体としても従来より踏み込んだ支援でJR北の経営再建を後押しする。

 赤羽一嘉国土交通相、JR北の島田修社長らが参加して道庁で開かれた会議で明らかにした。鈴木知事は「JR北海道の徹底した経営努力を前提に、地域も可能な限りの協力・支援を行うことが重要だ」と述べ、国と歩調を合わせた3年間の支援策を表明した。

 具体的には、道やJR北などが出資して線路の電化などを手がける第三セクター「北海道高速鉄道開発」(札幌市)が観光列車を取得して保有し、JRに無償で貸す。支援額などの詳細は明らかにしなかったが、JRが20~21年度に約40億円を投じて導入する2種類の観光列車が念頭にあるとみられる。

 観光列車の運行による新たな鉄道需要の開拓は、JR北の経営改善策の柱の一つ。鈴木知事は「利用促進に資する取り組みへの支援だ」と強調した。JR北の島田社長は「支援策の意義を重く受け止め、背水の陣で経営改善に全力で取り組む」と語った。

 今回の支援策は、JR北が「単独では維持困難」とする宗谷線(名寄―稚内)や石北線(新旭川―網走)など赤字8線区の利用促進策として打ち出された。道と沿線自治体は19~20年度の2年間に計4億円を出し、沿線住民や観光客の鉄道利用を促す取り組みを進めてきた。今回の支援策もこれまでと同様の位置づけだが、実際にはJRの負担を肩代わりするもので、一歩踏み込んだ形だ。

 国交省の上原淳・鉄道局長は「(JR北海道にとって)直接的な支援と受け止めている」と評価し、新たな支援策に国としても助成金を出す考えを示した。地方交付税などの地方財政措置で道の負担を軽くするため、総務省と協議していることも明らかにした。

 一方で、国は8線区を持続的に維持するために、今回のような利用促進策とは別に、さらなる財政負担を求めている。道や沿線自治体は「単なる赤字補塡(ほてん)はできない」と反発し、今回示した支援策にも含まれていない。上原鉄道局長は「線区の維持には地域の支援が不可欠だ。しっかりと検討いただきたい」と述べ、改めて赤字路線を維持する仕組みづくりを具体化するよう求めた。(長崎潤一郎)