大相撲初場所で埼玉県出身力士としての初の幕内優勝に王手をかけた大栄翔。実はいまから約60年前、同じ埼玉から賜杯(しはい)をつかみかけた人気力士がいた。
1958年秋場所。新入幕の若手力士が強烈な印象を残した。若秩父(本名・加藤高明)。埼玉県秩父市出身の19歳は、12勝(3敗)の好成績を収めた。優勝には届かなかったが、敢闘賞を受賞した。
身長173センチ、体重135キロ。大食漢で三段目時代には「どんぶりで10杯」食べていたことも。あんこ型のでっぷりとした体格で左四つを得意とし、格上に恐れずぶつかっていく。その取り口から「秩父の怪童」と呼ばれた。翌59年初場所後に小結になった。19歳11カ月での三役昇進は、昭和以降の最年少記録(当時)となった。
6歳のころ、陸軍に所属していた父が戦死。秩父市の公民館で働く母に、妹2人とともに育てられた。入門したのは花籠部屋からスカウトを受けたから。稽古好きで知られる初代若乃花に、「うちの『あんこ』(若秩父の愛称)はよくやる」と評されるほど猛稽古に励んだ。当時の朝日新聞には、若秩父の思いとして「一日も早く家族の者を東京に呼び、一緒に暮らすのが念願」と記されている。
明るい性格で愛された一方、奔放な一面もあった。
58年九州場所後に博多のキャ…
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