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 日本銀行のETF(上場投資信託)購入に伴い、資産運用会社などへ支払った信託報酬が約10年間で計約2千億円にのぼることがわかった。コロナ禍による株価急落で買い入れを増やしたため、昨年1年だけで約500億円を占める。金融緩和の一環で進めてきた政策だが、多額の費用もかかる実態が浮かび上がる。

 ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏が昨年12月末時点での日銀の保有残高をもとに試算した。ETF購入の際、運用や管理に必要な手数料「信託報酬」が、保有分の時価総額から年0・1%前後引かれることが多い。日銀の負担する信託報酬はETF保有残高に比例して年々増加。購入を始めた2010年以降の累計で約2千億円になる。

 日銀はETF買い入れの実務を信託銀行へ委託し、大手資産運用会社のETFを購入する。このため、日銀が負担する信託報酬などの金額は非公表だ。また日銀は、ETFの中でも時価総額の大きい商品を買い続けてきた。信託報酬の高いものが多かったため、結果的に高コストの商品を多数持つ。ETF手数料の引き下げ競争を妨げる大きな原因となっている。

 井出氏は「日銀は信託報酬の高いETFの購入がめだち、市場の競争をゆがめている。政策運営のコストを抑えるためにも、日銀は安い信託報酬のETFへの乗り換えなどを検討するべきだ」と話す。

 信託報酬の多寡は個人投資家にとって、ETFを選ぶ際の大きなポイントだ。ただ日銀がコストを考慮せず大量に買い入れ続けているため、運用業界に対する「実質的な補助金となっている」との指摘もある。信託報酬の引き下げ競争が生まれにくい一因になる。

 ETF購入は株式市場の安定をはかろうと10年12月に始まった。13年に就任した黒田東彦総裁が異次元緩和を始め、購入額のメドを当初の年1兆円から徐々に引き上げ、今は最大12兆円にしている。日銀が持つETFの時価総額も増え続け、昨年末の推計で約47兆円。ETF市場の8割を占め、圧倒的な存在感だ。

 幅広い銘柄の株式に投資するため、日銀はETFを通じて東証1部上場の7%の株式を保有する「最大株主」でもある。産業の新陳代謝を促す株式市場の機能を損なう恐れがあるとも指摘され、日銀はETFなどの買い入れ方法をふくめ金融政策の効果を3月に改めて点検すると決めている。

 日銀広報課は「ETFの手数料は保有者であれば等しく負担するもので適切だと考えている。市場の需要動向を反映した買い入れをしており、市場をゆがめているとは認識していない」とコメントしている。(座小田英史、編集委員・堀篭俊材)

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 この記事の一部に、運用や管理に必要な手数料の信託報酬が保有分の時価総額から「年数%分引かれる」とありましたが、「年0・1%前後引かれることが多い」の誤りでした。訂正します。

日銀の買い入れルール、市場にゆがみ

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