武蔵浦和に小中一貫校、さいたま市教委が検討

森治文
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 さいたま市教委は同市南区の市立沼影、浦和大里両小学校と内谷中学校を統合し、小中一貫の義務教育学校とする検討を始めた。武蔵浦和学園とする案が出ている。県内には2019年に開校した春日部市立江戸川小中学校(9学級190人)があるが、実現すれば3千人規模の国内最大級の義務教育学校が誕生する可能性がある。順調に進んでも開校は早くて2026年度以降の予定という。

 さいたま市教委関係者によると、沼影小隣の市民プール敷地の活用も構想の一つ。マンションの建設ラッシュで増加傾向にある児童・生徒数への対応と、9年間で一体的な教育に取り組める利点が背景にある。

 新年度以降、地元の住民や保護者らを対象とした説明会や意見交換の場を設けて義務教育学校の是非について話し合い、方向性を探る。同意が得られた場合でも、開校は早くても5年後以降の予定という。

 文部科学省学校基本調査(昨年5月1日時点)によると、3小中の児童・生徒数は、沼影小1099人、浦和大里小894人、内谷中969人。1学年は小学校4~6学級、中学校8~9学級で、大規模校または過大規模校。各校に近いJR武蔵浦和駅周辺のマンション開発が続いており、市教委の推計では6年後の26年度は沼影小の児童数がやや減る見込みだが、浦和大里小では100人近く増え、内谷中も今と同じ程度という。

 一方、文科省は教育の充実や中学進学時の心理的重圧の解消の観点などから小中の9年間を一体的に教育するメリットを打ち出しており、市教委も今後の市立小中学校のあり方として義務教育学校化も選択肢の一つに入る。その中で、小中学校を新設する敷地の確保が難しい武蔵浦和地区の3校の統合案が浮上した。

 そのうえで、すでに手狭で老朽化が進む校舎の新設やグラウンドの用地を確保するため、沼影公園内にある市民沼影プールの敷地を一部取り込む「沼影小+(プラス)プール用地」と、「浦和大里小」「内谷中」の3拠点による施設分離型の学園型構想が実現可能かどうか、住民らと話し合いを進めていく考えだ。

 ただ、マンモス化で子ども一人ひとりに行き届いた教育ができるか、市民の憩いの場であるプールをなくすのかなど、実現に向けた課題は多い。

 文科省によると、全国最大級の義務教育学校は茨城県つくば市の市立学園の森義務教育学校で65学級に児童・生徒が1850人在籍している。(森治文)

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 〈義務教育学校〉 小中学校の9年間の教育課程や教員態勢を一体化させ、系統だった学習やその質の向上を図り、「中1ギャップ」など進学時の環境の変化で学習面などでつまずくのを防ぐ狙いで、学校教育法の改正を経て2016年度からスタートした。

 文部科学省がまとめた昨年5月1日現在の学校基本調査では、20年度までに全国で126校が開校。国立・私立を除く公立121校で4万6148人が学ぶ。多様な学年間の交流も図れる半面、人間関係の長期固定化や小学6年時にリーダーシップを発揮する機会が失われる点なども指摘されている。

 学校設置基準では9学年18~27学級を標準としているが、それを上回る場合は弊害の除去として教員数の加配措置などが認められている。