15人死傷の工場爆発、原因は静電気 工場長ら書類送検

戸田和敬、植松敬
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 2017年12月、富士市厚原の荒川化学工業富士工場で爆発が起き、2人が死亡、13人が重軽傷を負った事故で、静岡県警は25日、当時の工場長(50代)ら7人を業務上過失致死傷の疑いで静岡地検沼津支部に書類送検し、発表した。認否を明らかにしていない。3年以上の捜査の末、事故原因を静電気による粉じん爆発と結論づけた。

 書類送検されたのは、当時、同社富士工場に勤務していた工場長や課長ら6人と、業務委託契約を結んでいた協力会社「佐藤組」の社長(60代)。7人はいずれも危険物取扱者の資格を持ち、同工場での勤務経験が豊富だったという。

 県警によると、7人は作業員に帯電防止用の作業着を着用させ、床に堆積(たいせき)した粉じんを取り除かせるなど、静電気による粉じん爆発を防ぐ措置や対策の指導を怠った疑いがある。事故の1年2カ月前にも同じ場所で小規模な爆発があったことも踏まえ、注意義務があったと判断した。

 事故は印刷インキ用の樹脂を製造する4階建ての工場棟で発生し、工場棟1棟が全焼した。当時、工場棟1階では製品の原料を粉砕して発生する粉じんを保管袋「フレコンバック」に詰める作業が行われていた。

 県警は消防と実施した現場検証や爆発に関する実験、専門家の意見などを総合し、原因を推定。空気中を舞う粉じんが帯びた、もしくは作業員の着衣などから生じた静電気によって爆発が起きたと結論づけた。

 消防の火災調査書類によると、ある作業員は「フレコンバック自体にあるアース端子にはアースをとっていなかった」と証言。帯電防止用の作業服の着用指示を受けていなかったとの証言もあったという。

 また工場では、事故の半年前、粉じんによる爆発の危険性を調査していた。粉じんが静電気による着火で激しい爆発を引き起こす危険性を把握し、対策を検討中だったという。

 荒川化学工業は事故後に調査委員会を設置。事故原因について県警と同じ結論に達していた。一方で、静電気や粉じん爆発に関する理解が不足しており、粉じんの堆積(たいせき)が爆発につながる認識はなかったとも説明していた。

 今回の書類送検を受け、同社経営企画室は「事故に関しておわび申し上げます。すでに再発防止策に取り組んでおり、今後は捜査機関の判断を待って対応を検討していきます」としている。(戸田和敬、植松敬)