第15回失恋で決めた受験 落ち着いていきや~ ゆりやんさん
コロナ禍の中、入試にのぞむ受験生たちに贈る激励のメッセージ「受験する君へ」。ゆりやんレトリィバァさんが贈る言葉です。
受験する君へ お笑い芸人・ゆりやんレトリィバァさん
高3まで、大学へ行く気はありませんでした。卒業したら芸人になるつもりだったので。でも、夏休み前に好きな男の子ができたんです。
1学年下のカッコいい野球部員。夏休みに入ると、彼の練習している姿が見られへん。だから、学校へ行って勉強するフリをするために、「受験する」と先生に言ったんです。
夏休みは、朝早くから夜まで学校にいました。教科書は開いていたけど、1日に1行も読めてません。野球部の練習を見ていたから。進学するつもりはなかったのでそれでいいんですけど、夏休みが終わってすぐに、その人に彼女ができたという話を友だちから聞いたんです。
告白したわけでもないし、勝手に好きになってただけなんですけどね。なんのために高校最後の夏休みを学校で過ごしたんやろうって。復讐(ふくしゅう)してやるという気持ちになったんです。
その男の子に「すごい」って言わせたい。見返すために、「関関同立」をめざすことにしました。
中学のときから、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出ているマイケル・J・フォックスのファンでした。アメリカや英語、映画に興味があり、大阪への憧れもあったので、関西大学の外国語学部か文学部へ行けたらと思いました。
なりきったらできちゃった
でも、成績はめちゃくちゃ悪かったんですよ。勉強はまったく頑張らなかったし、塾にも行っていなかったから。勉強の仕方をよくわかっていなかったんです。
日本史の問題集をやり始めたけど解けない。本当に、なんにもわからへん。あっ、そうだっ、教科書を読めばいいんやと気がついて、それから通学する電車のなかでも学校でも、とにかく教科書を読み込むようにしました。
ミミズみたいにテキトーな字で、ノートに丸写しもしていましたね。目で見て、手で書いて、口で読んで。体に染み込ませたら自然と頭に入ってきて、問題も解けるようになっていったんです。
でも英語は難しかった。どう乗りきったのかなあ。英文は、わからんかったら自分で勝手にストーリーを作るしかなかったような気がします。
国語は、先生が面白い人でした。受験本番の漢文は、その先生になりきったつもりで臨んだんです。先生ならこう言うやろうなって。そうしたら、一問以外わかっちゃった。できなかった問題を先生に聞いたら「先生もわからへん」。
自信や達成感を持つために、使い切ったノートは捨てないようにしていました。ノートの裏表紙をそろえて、のりとテープで貼りつけて分厚い本みたいにしていくんですよ。そうしたら、こんだけやったから大丈夫やって思えた。
とにかく寝よう!
好きだった人を見返すための受験でしたが、途中からは、本当に関大へ行きたいという気持ちになりました。
合格発表はパソコンで見ました。あ~、ある~って。受かった手応えはなかったので、ほんまにうれしかった。
いま頑張っている受験生に伝えたいのは、とにかく寝てくださいということ。遅くまで勉強してしまいがちですけど、寝ないと体を壊します。私は6~7時間は寝ていました。その方が頭が回る。私の場合、回ってこれかい、ですけどね。
「そんなん言われても」って思うかもしれないけど、どこへ行っても人生は開ける。そう思えたら、変に力を込めずに受験できるかもしれません。
みんな、落ち着いていきや~。(聞き手・篠塚健一)
◇
〈ゆりやんれとりぃばぁ〉1990年、奈良県生まれ。県立高田高校から関西大学文学部へ進学。大学在学中に吉本興業の芸人養成所に入り、首席で卒業した。ピン芸人として活動し、2017年の「NHK上方漫才コンテスト」「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝した。NHK・Eテレの英会話番組「知りたガールと学ボーイ」などに出演している。

大学入学共通テストのニュースはこちら
最新ニュース、時間割、受験生応援企画などをお届け。試験当日は問題と解答を速報します。[記事一覧へ]