第15回失恋で決めた受験 落ち着いていきや~ ゆりやんさん

聞き手・篠塚健一
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コロナ禍の中、入試にのぞむ受験生たちに贈る激励のメッセージ「受験する君へ」。ゆりやんレトリィバァさんが贈る言葉です。

拡大する写真・図版お笑い芸人のゆりやんレトリィバァさん=2020年10月、東京・新宿、嶋田達也撮影

受験する君へ お笑い芸人・ゆりやんレトリィバァさん

 高3まで、大学へ行く気はありませんでした。卒業したら芸人になるつもりだったので。でも、夏休み前に好きな男の子ができたんです。

 1学年下のカッコいい野球部員。夏休みに入ると、彼の練習している姿が見られへん。だから、学校へ行って勉強するフリをするために、「受験する」と先生に言ったんです。

 夏休みは、朝早くから夜まで学校にいました。教科書は開いていたけど、1日に1行も読めてません。野球部の練習を見ていたから。進学するつもりはなかったのでそれでいいんですけど、夏休みが終わってすぐに、その人に彼女ができたという話を友だちから聞いたんです。

 告白したわけでもないし、勝手に好きになってただけなんですけどね。なんのために高校最後の夏休みを学校で過ごしたんやろうって。復讐(ふくしゅう)してやるという気持ちになったんです。

 その男の子に「すごい」って言わせたい。見返すために、「関関同立」をめざすことにしました。

 中学のときから、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出ているマイケル・J・フォックスのファンでした。アメリカや英語、映画に興味があり、大阪への憧れもあったので、関西大学の外国語学部か文学部へ行けたらと思いました。

なりきったらできちゃった

 でも、成績はめちゃくちゃ悪かったんですよ。勉強はまったく頑張らなかったし、塾にも行っていなかったから。勉強の仕方をよくわかっていなかったんです。

 日本史の問題集をやり始めたけど解けない。本当に、なんにもわからへん。あっ、そうだっ、教科書を読めばいいんやと気がついて、それから通学する電車のなかでも学校でも、とにかく教科書を読み込むようにしました。

 ミミズみたいにテキトーな字で、ノートに丸写しもしていましたね。目で見て、手で書いて、口で読んで。体に染み込ませたら自然と頭に入ってきて、問題も解けるようになっていったんです。

 でも英語は難しかった。どう乗りきったのかなあ。英文は、わからんかったら自分で勝手にストーリーを作るしかなかったような気がします。

 国語は、先生が面白い人でした。受験本番の漢文は、その先生になりきったつもりで臨んだんです。先生ならこう言うやろうなって。そうしたら、一問以外わかっちゃった。できなかった問題を先生に聞いたら「先生もわからへん」。

 自信や達成感を持つために、使い切ったノートは捨てないようにしていました。ノートの裏表紙をそろえて、のりとテープで貼りつけて分厚い本みたいにしていくんですよ。そうしたら、こんだけやったから大丈夫やって思えた。

とにかく寝よう!

 好きだった人を見返すための受験でしたが、途中からは、本当に関大へ行きたいという気持ちになりました。

 合格発表はパソコンで見ました。あ~、ある~って。受かった手応えはなかったので、ほんまにうれしかった。

 いま頑張っている受験生に伝えたいのは、とにかく寝てくださいということ。遅くまで勉強してしまいがちですけど、寝ないと体を壊します。私は6~7時間は寝ていました。その方が頭が回る。私の場合、回ってこれかい、ですけどね。

 「そんなん言われても」って思うかもしれないけど、どこへ行っても人生は開ける。そう思えたら、変に力を込めずに受験できるかもしれません。

 みんな、落ち着いていきや~。(聞き手・篠塚健一)

     ◇

〈ゆりやんれとりぃばぁ〉1990年、奈良県生まれ。県立高田高校から関西大学文学部へ進学。大学在学中に吉本興業の芸人養成所に入り、首席で卒業した。ピン芸人として活動し、2017年の「NHK上方漫才コンテスト」「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝した。NHK・Eテレの英会話番組「知りたガールと学ボーイ」などに出演している。

連載受験する君へ(全28回)

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