私は「次」を見る プロ野球初の女性スカウトの視点とは

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大坂尚子
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スポーツ好奇心

 オリックスにプロ野球界初の女性スカウトがいる。昨年1月1日付でアマチュアスカウトに就任した乾絵美さん(37)だ。ソフトボール日本代表の捕手として、北京五輪では金メダルを手にした。コロナ禍で活動がままならない時期もあった昨シーズン。野球経験のない新米スカウトは、どんな風に駆け抜けたのだろう。

ドラフトで贈り物

 ドラフト会議はスカウトにとって1年の集大成だ。昨年10月26日、大阪市内の球団事務所からリモートで見守った乾さんにとっても特別なものになった。球団が3位指名したのは、担当した兵庫・明石商高の来田(きた)涼斗(18)。一昨年、春夏連続で甲子園4強入りに貢献した強打の外野手で、オリックスアカデミーのコーチとして小学生だった来田を指導したこともあった。「神様が『プレゼントをあげよう』って結びつけてくれたんじゃないかって」。指名の瞬間は思わず叫び声を挙げた。この日は37回目の誕生日だった。

 世界の頂点に立ったのは24歳の時。2004年アテネに続き2大会連続での五輪となった08年夏の北京。所属先が同じエース上野由岐子(38)らとともに戦った。自身の出場こそなかったが決勝で米国を破り、歓喜の輪のなかで上野を肩車した。

 翌09年に引退した。香川県で母の実家が営む民宿を継ぐ準備をしようと考えていたところ、オリックスからアカデミーのコーチに誘われた。「教えるのは面白いかも」。10年から球団職員になり、子どもを指導してきた。

 さらなる転機は1年前。「世界一の経験を生かしてほしい」とスカウトへの転身を打診された。不安があったが、ソフトボール時代の恩師に「やってみなよ」と背中を押され、決断した。牧田勝吾・編成部副部長は「組織の中で女性の力というものが更に重要になってくると考えていた。プロ野球の中で、オリックスが新しい道を開拓したいという思いもあった」と起用の理由を説明する。

元捕手としてのこだわり

 新しい名刺を持って学校や社会人チームにあいさつに行くと「これからは女性の時代」と指導者から激励された。昨季はスカウト活動も新型コロナウイルスの影響を受け、試合も練習も見られない期間が長く続いた。動画で選手をリサーチしておき、夏場は現場にコツコツと足を運んだ。担当する関西と静岡で約100人の選手を見た。

 特に注意して見てきたのは…

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