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 「これまでの感染対策に限界があったのは明らかだ」――。21日の経済財政諮問会議で民間議員の新浪剛史氏(サントリーホールディングス社長)がこう発言し、再度の緊急事態宣言を招いた政府の新型コロナ対策を痛烈に批判した。「ワクチン一本足打法」へも警鐘を鳴らし、「国民は政府の対策について疑心暗鬼に陥っている」と情報発信の改善も求めた。

 26日に公開された議事要旨でわかった。諮問会議は菅義偉首相が議長を務め、新型コロナ対策をになう西村康稔経済再生相ら主要閣僚がメンバーとなる政府の重要会議体。新浪氏は、4人いる民間議員の一人として会議に参画している。

 新浪氏はこの日の会議で「感染拡大、医療逼迫(ひっぱく)の状況を踏まえれば、クラスター対策中心のこれまでの感染対策に限界があったのは明らかだ」と指摘。緊急事態宣言を解除しても再び感染が広がる可能性があるとして、無症状感染者発見のためにPCR検査を民間機関とも連携して拡充することや、医療負担の軽減策として入院を高齢者や基礎疾患のある高リスク者に限定すること、利用が落ち込むホテルや旅館を転用して隔離・療養のための施設を十分に確保することなどを訴えた。

 これらの対策はノーベル賞受賞者の山中伸弥京大教授らも提言しているとして、「最先端の科学的知見かつ国際的人的ネットワークを持っておられる方々と、無症状感染者への対応を極めて限定的なものとし、結果的に感染拡大をもたらすこととなってしまった対策に固執した感染症専門家の方々のどちらに耳を貸すべきなのか、今となっては明白ではないか」と、政策の転換を迫った。

 感染収束の「切り札」と政府が期待をかけるワクチンについては「普及するまでには、どんなに短くても4、5カ月かかる」とし、収束策をワクチン頼みにすることのリスクも指摘した。国民に対する政府責任者からの適時的確な情報提供についても、改善を求めた。

 新浪氏の発言に対しては政府側から会議中に直接の反応はなく、菅首相は締めくくりあいさつで「まずは感染を抑え込み、減少に転じさせるよう全力を挙げて参りたい」と述べた。