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 市町村の税収の4割を占める固定資産税で今年、3年に1度の評価替えが行われる。市町村は土地の評価業務を不動産鑑定士に委託しているが、茨城県内の44市町村の委託状況を調べたところ、1地点あたりの平均単価に最大で4倍超の開きがあることがわかった。税収を確保するための同じような作業で、なぜ違いが出るのか。実情を探る。

 土地や家屋に課される固定資産税は、3年に1度見直される。土地の評価は、市町村が複数の地点を決め、その鑑定評価を不動産鑑定士に委託する。見直しの1年以上前から土地の取引状況などにより評価し、算出した額をもとに最終的に自治体が決める。今回の見直しのために県内で調査対象となった計1万3107地点について検証した。

 朝日新聞が桜川市の不動産鑑定士、永井義久さんの協力で各市町村の契約に関する資料を分析したところ、鑑定士への委託業務を入札にかけない「随意契約」で実施したのは31市町村。ほかの13市町村は競争入札で契約していた。

 随意契約の31市町村のうち、牛久市を除く30市町村は鑑定士の業界団体である県不動産鑑定士協会と契約していた。協会は、不動産鑑定ができず実際の仕事は鑑定士が行うが、その取りまとめをするという。

自治体間で4倍差

 市町村ごとの委託額を地点数で割った1地点あたりの平均単価を比べると、税金を集めるためのコストは、契約形態の違いによって大きな差が出る傾向が明らかになった。

 鑑定士に支払われた委託金の県内平均は4万8832円。最も高かったのは随意契約で委託している鹿嶋市で、6万7740円。一方、最も低かったのは今回から一般競争入札を実施しているかすみがうら市の1万6774円。両市の間には、4倍以上の開きがあった。

 随意契約を採用している31市町村の平均単価は5万4686円。一方、入札を導入している13市町村の単価は3万6594円で、コストは3割以上低い計算になる。入札を採り入れる自治体は年々増えており、前回の評価替えまでに入札に切り替えたのは8市町、今回も5市村が新たに入札を導入した。

 前回まで随意契約だったかすみがうら市は、今回は過去に市内の鑑定をした経験がある鑑定士を条件に、入札に切り替えて、平均単価は前回と比べて約65%下がった。担当者は「契約は入札が基本なのに、不動産鑑定だけ随意契約を採用している理由付けが難しかった」と説明する。

 一方、随意契約を続ける自治体の間には、「地域の事情を理解している鑑定士にお願いしたい」(土浦市)などと説明する例が目立つ。協会と契約すれば、自治体の意向で鑑定士を決められる。自治体内の各地点のバランスの調整を協会に期待する声も目立った。

 鹿嶋市では、契約前に複数の業者から見積もりをとるような作業はせず、鑑定士協会と契約した。担当者は「周囲の市町村に比べて価格が高いので、今後入札も検討する」としている。(久保田一道、松浦新