ヤギ飼い、学生創作の刺激に 取手の芸大キャンパス

佐藤清孝
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 メエー。2頭のヤギがのんびりと草をはむ。ここは牧場ではなく、茨城県取手市東京芸術大学取手キャンパス。「創作活動の刺激にしたい」と、プロジェクトチームが、昨年暮れから飼育を始めた。キャンパスのあちこちに出没し、学生らの人気の的だ。

 チーム名は「ヤギの目」。取手キャンパスの先端芸術表現科教授で美術家の小沢剛さん(55)と、芸大出身で美術家の岩間賢(さとし)さん(46)が中心になった。

 ヤギは人に飼われている歴史が長いといい、「ヤギが1頭いるだけでキャンパスの風景が変わる。大学で芸術活動につなげられないか」。2人は2018年からこんな構想を練り、19年からメンバーを募った。

 小沢さんの研究室の学生をはじめ、有志の教員や学生、「芸大食堂」を運営するNPO法人「取手アートプロジェクトオフィス」のメンバーなど約40人が集合。昨年は、ヤギがキャンパス内を自由に動き回れるように周辺の樹木を伐採し「同居」の準備を進めた。

 ヤギは昨年12月にお目見えした。茨城大学農学部から借りたエヒメと、小沢さんが知人から譲り受けた子ヤギのムギ。ムギは、昨年9月末に生まれたばかり。

 チームの当番が朝、食堂前の仮小屋から2頭を連れ出し、キャンパス内の草地につないでおく。学生たちはヤギを見かけると、声をかけたり背中をなでたりしてふれあっている。

 小沢さんと学生、大学院生の4人がまず、メディア教育棟の前でそれぞれ、キャンパス内の雑木や竹林、雑草などを活用した四つの小屋を制作した。「芸術作品でもあり、ヤギが入る小屋にもなる」と小沢さん。

 プロジェクトには地域住民5人も協力。キャンパス内の竹を切り出し、四つの小屋の周りに長さ100メートルほどの柵を完成させた。阿部成敏(しげとし)さん(80)は「芸大でヤギを飼うのは面白い取り組みだね」とほほえむ。

 ただ冬の間は柵の日当たりが悪いため、柵での飼育はこの春から。小沢さんは「学生たちがヤギを通してどんな作品を生みだすのか楽しみ」と話しながら、「将来はヤギの乳でチーズやアイスクリームを作りたい」と夢を広げている。(佐藤清孝)