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 カセットボンベやスプレー缶に穴を開け、ガスを抜く作業中に引火する火災が後を絶たない。重大な事故につながりかねないとして、神戸市は昨年4月、ごみ出しルールを変えて「穴開け不要」とした。実験動画を公開して注意を呼びかけるとともに、ルールの周知に力を入れる。

 昨年2月、神戸市内のラーメン店の厨房(ちゅうぼう)。20代の男性従業員がカセットボンベに残ったガスを抜こうと、穴開け作業をしていたところ引火した。男性を含む従業員2人が軽いけが。2019年7月には大阪府高槻市の会社敷地内で、スプレー缶のガス抜き作業中に爆発火災が発生。3人が死亡、1人が重傷を負った。

 神戸市消防局によると、カセットボンベやスプレー缶のガス抜き作業中の火災は2016年が8件、17年が9件、18年が7件、19年が3件、20年が3件。この間、市内で死亡者は確認されていないが、負傷するケースがあったという。

 神戸市はこうした火災を防ぐため、昨年4月、ごみ出しのルールを変更。カセットボンベやスプレー缶の穴開けをせずに出せるようにした。他の燃えないごみと区別するため、市指定の袋以外の中身が見える袋に入れて出せば、パッカー車ではなくダンプトラックが回収する。回収する車を分けたのは、パッカー車後部の回転板でガスボンベなどを押し潰すと、火花が出て爆発事故につながるからだ。

 それでも神戸市内で昨年8月、整髪料のスプレー缶のガス抜き中に引火し、ぼやが起きた。市消防局の担当者は、穴開け作業の危険性とともにごみ出しルールの徹底を呼びかけていく、としている。

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 火のついたコンロに鍋がかかったままの台所。そのすぐ隣で、カセットボンベに穴をあけた。ガスが抜ける音がした直後、「ぼぉぉ」。炎が横にひろがり、カセットボンベに向かって一直線に迫ると、瞬く間に炎上した。

 神戸市消防局が公開した実験動画だ。

 別の動画では、ヒーターの前にスプレー缶が置かれていた。高温になったとみられるスプレー缶が「バンッ」という爆発音ととも破裂し、周囲に破片が散らばった。炎が上がったのはその直後だ。

 注意喚起のため、神戸市のホームページや動画投稿サイト「ユーチューブ」で火災の実験動画が公開されている。市消防局の担当者は「鍋のおいしい寒い季節になればカセットボンベを使う人も増えるだけに、注意が必要だ」と話した。(森下友貴)