電力小売り「かづのパワー」、市場高騰で解散も視野

加賀谷直人
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 電力の地産地消を目的に設立された秋田県鹿角市第三セクター「かづのパワー」は、2月14日で電力の供給を中止する。電力を仕入れる市場の平均単価が急上昇し、今後も高騰が続くとして会社の継続は困難と判断した。会社の解散も視野に入れている。

 かづのパワーは2019年7月設立。市内にある三菱マテリアル永田水力発電所から電力を調達し、東北電力の送電網を使って翌年4月から市内32の公共施設に電力の供給を始めた。この時の市場価格は1キロワット時当たり約5円だった。

 しかし、昨年12月中旬から価格の高騰が始まり、採算ベースの12円を大きく上回った。年明けには160円を超えて収益が悪化、会社の継続が困難となった。1月末で供給を停止した場合の期末損失が5600万円になると試算した。

 市によると、市場価格高騰の背景には、年末年始の寒波襲来による電力需要の増加や、供給国のトラブルなど国際的な要因で液化天然ガス(LNG)が不足し、LNGを燃料に使う火力発電所の出力が低下したことがある。LNG不足は長期化し、電力市場の高騰は当面続くとみている。

 供給している53の公共施設には東北電力へ切り替えてもらうよう依頼した。19日にあった取締役会では、会社解散もやむなしという方向で意見集約された。22日に会社の現状と方向性について市議会全員協議会で説明があった。

 同社の竹田孝雄社長は「電力市場にリスクがあることは理解していたが、こんなにひどい状況は初めてで面食らった。経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)で継続できないと判断した。電力の地産地消という期待に応えられず申し訳ない」と話している。

 電力の小売り全面自由化を受けて設立された同社には、市のほか金融機関、地元の企業などが出資している。25年度以降には市内全域への供給を目指していた。(加賀谷直人)