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 2度目の緊急事態宣言が出されてから3週間。時短営業で思うように営業できない飲食店が編み出した「奇策」の現場を、記者が見にいった。

 吉祥寺の情報チェックのためによく見るツイッターにこんな投稿があった。

 〈ふっふっふっ、朝ラーデビューしました〉

 なにやら自慢げだ。吉祥寺駅前のラーメン屋「洞くつ家(や)」は緊急事態宣言中、朝6時から営業中という。

 27日、開店前に訪ねた。社長の永井康介さん(46)は「小雨だし、今日はひまですよ」と予言したが、6時の開店と同時に若い男性5人が入ってきた。朝まで飲んだ後で「シメのラーメン」だという。隣の席には若いカップル。男性は24時間営業のジムで体を鍛えた後で、「ラーメンくらいなら太らないでしょう」。

 豚の背骨を煮込むずん胴から湯気がたちのぼり、麺の湯を切る音が響く。客たちは、1品サービスの味玉やキャベツとチャーシューのつまみをつついて、できあがりを待つ。

 奥の席についた若い男性は会計事務所に出勤前といい、「いま、12月決算で繁忙期。ラーメン食べて、昼抜きで乗り切ります」。

 夜勤明けに来た男性2人組は「この時間にやっていると聞いて」と喜ぶ。

 開店30分余で14人入ったものの、7時台は1人。従業員2人が昼に向けて黙々と仕込みを続けている。

 通常の開店は午前11時だったが、「朝に食べたいという人が想像以上にいた」と永井さん。トラックやタクシーの運転手、夜勤明けの医療従事者……。週末は開店直後から満席もしばしばだ。「なぜか朝6時台に食べたいようです」と苦笑する。宣言解除後も、朝の営業継続を思案中という。「この生活様式に慣れていくだろうから」

 記者も1杯、「朝ラー」デビュー。豚骨スープに朝からニンニクを一さじ。ぽかぽかと体の芯からあたたまった。(井上恵一朗)