タイ、不敬容疑で50人超聴取 国王に扮した少年まで

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バンコク=貝瀬秋彦 聞き手・貝瀬秋彦
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 王室改革などを求める反政府デモが続くタイ。王室に批判的な言動への圧力を強めるため、当局が使っているのが「不敬罪」だ。昨年11月、2年以上にわたって控えていた不敬罪の適用を再開。今月に入り、デモの中心を担う若者らから支持を集める元野党党首を、不敬容疑で告発した。体制批判の象徴的な人物をも標的にすることで運動を萎縮させ、批判を抑え込む狙いが見える。

ワクチンめぐる疑惑

 タイ政府は1月20日、新型コロナウイルスのワクチン生産をめぐる発言で王室の名誉を傷つけたとして、解党された野党・新未来党のタナトーン元党首(42)を不敬容疑などで告発した。

 タイでは王室系の製薬会社サイアム・バイオサイエンスが、英製薬大手アストラゼネカから技術供与を受け、ワクチンを独占的に生産することで合意している。タナトーン氏は18日、サイアム社が選ばれたことに疑問を呈する発言をしていた。

 これに対し、プラユット首相が「ゆがめた情報を広めた」と反発。政府は20日に告発に踏みきり、政府高官は「事実をゆがめ、人々の間に誤解を招いたためだ」と理由を説明した。

 タナトーン氏は、21日に記者会見を開いて反論。サイアム社だけが選ばれた経緯が「不透明だ」と改めて指摘し、契約内容などの開示を求めた。また、告発については「政治的な動機に基づくものだ」と批判し、今後も問題の追及を続けていく考えを示した。

 タナトーン氏が率いていた新未来党は、軍事政権からの民政移管に向けた2019年3月の総選挙で、若者を中心に支持を得て第3党に躍進。軍政の流れをくむプラユット政権や軍への批判の先頭に立ってきたが、政治資金をめぐる違反があったとして昨年2月、保守派や軍の影響下にあるとされる憲法裁判所から解党を命じられた。タナトーン氏ら幹部は政治活動も10年間にわたって禁じられ、これに大学生ら若者が反発し、一連の反政府デモが始まるきっかけとなった経緯がある。

 デモ隊は、プラユット政権の退陣や軍政下で定められた憲法の改正とともに、それまで議論すらタブー視されてきた王室改革にまで踏み込み、不敬罪の廃止や王室予算の削減、政治への不介入などを訴えて、街頭でのデモを繰り返してきた。

記事の後半では、取材に応じた反政府デモのリーダー格の人権派弁護士が、政府の対応について語ります。新型コロナの感染拡大のため、いまは開催されていない街頭デモの今後の見通しについても話しています。

声明通訳しただけで事情聴取

 これに対し、当局は昨年11…

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