訪問販売の契約書、デジタルでOKに 法改正に懸念噴出

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小林未来
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 政府は、紙で消費者に渡すことが義務づけられてきた訪問販売などの契約書を、電子データで渡してもいいようにする法改正の準備を進めている。政府が各分野で進めようとするデジタル化の一環だが、対象となるのがトラブルが多発してきた販売手法だけに、消費者団体は「トラブルが増えたり、被害回復が困難になったりする恐れがある」と懸念している。

拡大する写真・図版消費者庁が入る合同庁舎=東京・霞が関

 政府が契約書の電子化を認めようとしているのは、訪問販売・電話勧誘販売・マルチ商法、預託商法など、主に特定商取引法(特商法)や預託法で規制されている取引。過去にトラブルが多発し、特に消費者保護が必要とされる取引で、契約を結ぶ際には内容やクーリングオフについて書いた書面を紙で渡すことが義務づけられている。

 昨年の国の規制改革推進会議では、オンライン英語学習支援サービス業者が「契約書面の郵送が業務のオンライン化の障害になっている」と指摘。消費者行政について議論・提言している内閣府消費者委員会でも1月、事業者側から「デジタル化は事務処理の効率化や書面の記載漏れ・渡し忘れの防止など管理面で役立つ」などの意見が出された。

国「消費者に選択肢を広げる意味も」

 こうした議論を踏まえ、政府は、デジタル化を望まない人の利益確保や、クーリングオフの起算日(現在は消費者が書面を受け取った日から8~20日間)といった論点を整理したうえで、消費者が承諾した場合に限り、契約書をデジタル化できるように特商法や預託法を改正することにした。

 通信販売での詐欺的な「定期購入商法」の厳罰化や「販売預託商法」の禁止を盛り込んだ特商法・預託法改正案にあわせ、開会中の通常国会に今後提出。今国会中の成立をめざす。

 担当する消費者庁取引対策課は「紙が原則であることに変わりはないが、デジタル交付の方が便利だという消費者に、選択肢を広げる意味もある」と説明する。

拡大する写真・図版一般的な契約の流れ(訪問販売の場合)

 消費者委員会では、契約書のデジタル化の方法として▽電子ファイル化した契約書をメールで送信▽契約者の専用ページで閲覧――などが言及されたが、消費者庁側は「書面の改ざんなどを防ぐため、方法はある程度限定したい」としている。具体的な消費者保護策は法案成立後、政省令やガイドラインなどで整備する方針。実際に運用が始まるまで少なくとも1年程度はかかる見通しという。

消費者団体「トラブル増」「業者から誘導」

 ただ、こうした方針が公式に…

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