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 バイオリン製造の先駆けで「日本のバイオリン王」と呼ばれた鈴木政吉(1859~1944)が創業した「鈴木バイオリン製造」(名古屋市)が、かつて主力の工場があった愛知県大府市に本社工房を移転する。経営不振が続くなか、「第2の創業」と位置づけ、移転費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 三味線職人だった政吉が1887(明治20)年、名古屋市内で創業した。国際的評価も高く、世界市場を独占していたドイツが第1次世界大戦で敗れると海外から注文が殺到し、最盛期は毎日500本のバイオリンをつくった。

 同社が大府市に工場をつくったのは1935(昭和10)年。世界恐慌で需要が消え、破産に追い込まれるなか、再起に向けた主力工場だった。

 戦後、名古屋市内に再び工場を置いた。ただ近年は少子化や安い海外製との競争などで赤字続きに。約2年前、資金繰りのため本社工場を売却し、代わりの本社工房は市内の別の場所で借りた倉庫に置いてきた。

移転支援、募集目標は500万円

 新たに本社工房が入るのは大府市の元レストランだった建物だ。工房の主な設備を整えて生産を始めており、4月に移転作業は完了する予定。新本社では政吉の三男の鈴木鎮一が創設した早期音楽教育「スズキ・メソード」の教室を開講。イベントなども開く。

 CF大手の「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」のサイトで2月7日まで500万円を目標に支援金を募っている。額に応じて特別仕様のバイオリンセットや移転記念コンサートの招待券などを返礼する。3歳から同社製バイオリンに親しむ小野田祐真取締役は「第2の創業。職人の技術をアピールしながら、再建を図っていく」と話している。(近藤郷平)