「あとひとつ」の大合唱をまた…マー君凱旋、地元沸く

近藤咲子、井上充昌、大宮慎次朗
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 おかえり、マー君――。大リーグヤンキースからフリーエージェントになった田中将大投手(32)が、8年ぶりに楽天に復帰することになった。東日本大震災の被災者を励まし、2013年には絶対的エースとして球団初の日本一に導いた。復帰の速報に地元ファンは沸いた。

 「こんなうれしいことはない」

 仙台市青葉区の「おでん三吉」の2代目店主、田村忠嗣さん(77)は喜びをあらわにした。

 近隣の商店主らでつくる楽天の私設応援団「稲虎応援団」の団長だ。田中投手が楽天の在籍中に店を訪れたこともあり、店には田中投手のグラブを飾る。

 田中投手は店内では「周囲に偉ぶることはなかった」という。きりたんぽ鍋を出すと、自身のSNSで「初めてのきりたんぽ」と紹介してくれたのを今でも覚えているという。

 店は国分町地区にあり、新型コロナウイルスの感染拡大で、年末から営業時間を短縮せざるをえなくなった。売り上げは以前の2割にまで激減。こんな状況だからこそ、復帰の知らせが吉報に思えるという。

 田村さんは楽天が13年に日本シリーズを制した時の田中投手の活躍を思い出したといい、「『あとひとつ』の大合唱をまた、みんなでしたい。希望の持てない日々だったけど、気持ちのうえでとても励みになった」と話した。

 街ゆく人たちも喜んだ。

 ニュース速報で復帰を知ったという仙台市宮城野区の無職佐藤富久子さん(74)は「よかった」と笑顔を見せた。13年の優勝パレードを見に行ったといい、「震災後に勇気づけられた。また三振をたくさん取って、活躍してほしい」と話した。

 青葉区の会社員平賀真紀さん(54)は「マー君が戻ってきたら、仙台に活気が出る」と期待を寄せる。

 宮城野区の専門学校生佐藤未紀人さん(19)は「友達と『マー君が帰ってきたら、絶対また楽天が勝つよ』と話していたので、復帰が決まったと聞いてびっくり。がんばってほしい」と話した。

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 楽天の石井一久ゼネラルマネジャー(GM)兼監督は28日、「ほっとした。現場としては心強い」とオンライン会見でうなずいた。

 田中投手は13年、開幕から無傷の24連勝を飾り、球団初のリーグ優勝、日本一に貢献。東日本大震災で傷ついたファンらを勇気づけた。石井監督は「(今年は)震災から10年で特別なシーズン。田中選手がいるのは、楽天や東北の方にとっても特別なこと。迎え入れることができてすごくよかった」と語った。

 田中投手のツイッターアカウントは、復帰を喜ぶファンのコメントであふれた。「復帰ありがとう!この日を夢見てました」「うれしくて泣きそうになった」「仙台で待ってるよ」(近藤咲子、井上充昌、大宮慎次朗)