真っ暗な海から響いた「ぎゃー」 副船長、真冬の救出劇

安田琢典
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 海中に転落した釣り人を救助したとして、三重県鳥羽市消防本部は28日、伊勢湾フェリー「伊勢丸」副船長の小久保寿也さん(47)に感謝状を贈った。安全への意識が高い船乗りならではの迅速で適切な対応が、人命救助につながった。

 市消防本部によると、22日午前0時10分ごろ、仕事を終えて伊勢丸の甲板で魚釣りをしていた小久保さんは、真っ暗な海中に何かが落下する音を聞いた。その直後、「ぎゃー」という悲鳴が響き渡り、急いで岸壁に向かった。

 ヘッドランプを海面に向けると、胸の上まで海水につかった男性(69)の姿が見えた。男性に声をかけながら浅瀬に誘導。119番通報し、男性の様子や、緊急避難させた場所の状況などを詳しく伝えた。

 このときの気温は3・5度。小久保さんは「男性が寒さを訴えたため、着ていたジャンパーを渡して羽織らせた。流された場合の目印になるようヘッドランプも手渡し、意識を失わないよう、救急隊員が到着するまで励まし続けた」と、救出時を振り返った。

 鳥羽市消防署の家田幹根署長は「一歩間違えば最悪の事態もあり得た。小久保さんの処置と通報内容が具体的だったので、スムーズに救助できた」と感謝した。(安田琢典)