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 広い湯船の中で、手足を思い切り伸ばして深呼吸する。見上げると渋谷の街を描いた壁画が広がっている。女性の浴場には10人ほどの利用客が思い思いにくつろいでおり、静寂の時間が流れていた。パソコンに向かって、せわしなく仕事をしていた一日の疲れが、湯に溶けていくようだ。

 27日午後8時すぎ、渋谷駅と恵比寿駅の中間にある改良湯(東京都渋谷区東2丁目)を訪れた。創業は1916(大正5)年。3年前に4代目の大和伸晃さんと慶子さん夫妻がリニューアルし、外観や内装がモダンになった。伸晃さんは「緊急事態宣言後、常連さんの行動が変化した。以前は『晩ご飯前にひとっ風呂』だったが、夕食後に来る方が増えた」という。

 銭湯の楽しみの一つが、客同士の雑談だった。だがコロナ禍の今、館内では「黙浴」が呼びかけられている。そのかわりに「新たな銭湯の楽しみ方」として2月9日まで、「Neo Chill(寝落ちる)サウナ体験」を実施中だ。

 「落ち着く」を意味する英語「CHILL OUT」にひっかけており、館内には、各国のミュージシャンの楽曲をオンラインで提供するグリッジ社(港区)が選んだ落ち着くBGMが流れ、サウナ利用者は安らぎを促すという飲料「CHILL OUT」がもらえる。企画発案者の一人で、常連客の渡辺憲さん(41)は「テレワークで頭脳が疲れている人が多いと思います。音楽と飲料、銭湯の相乗効果でリラックスを」と呼びかける。

 湯で温まった後、外に出た。ほおをかすめた冷たい夜風が心地良かった。改良湯の今の営業時間は午後1時~11時。入浴料は大人470円、サウナ利用料は350円。土曜定休。(伊藤恵里奈)