ジェンダーの視点でみるイスラムの育児 歴史から迫る

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編集委員・中村俊介
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 女性史のすぐれた研究に贈られる第15回女性史学賞(奈良女子大アジア・ジェンダー文化学研究センター主催)に、イスラム法が専門の東京大大学院研究員、小野仁美さんの『イスラーム法の子ども観』(慶応義塾大学出版会)が選ばれた。小野さんは「研究が広がり、他の研究者との交流でも刺激になる」と喜ぶ。

 この賞は、女性史やジェンダー史からの考察にもとづく歴史や文学、社会学、文化人類学民俗学などの単著が対象。受賞作は「ジェンダーの視点でみる子育てと家族」との副題を持ち、日本ではなじみの薄いイスラム社会における子ども観を扱った労作だ。

 固定された法典としてまとめられることのなかったイスラム法は、複数の学派が併存しながら今日まで継承されてきた。本書はなかでもマーリク学派の法解釈の歴史を軸に、クルアーン(コーラン)やハディース(預言者ムハンマドの言行についての伝承)をめぐる一次史料はもちろん、西洋の文献も含む多方面からの視野で緻密(ちみつ)に読み解いている。

 イスラム世界といえば、宗教的な絶対の教えを土台にした独特の法体系を持ち、厳格で画一的な社会と思われがちだ。その家族像もまた、男尊女卑や強大な父権が妻や子を支配するといったイメージが流布し、思い込みや偏見からくる誤解も少なくない。まして子育てや教育環境について、一般的に知られているとは言いがたい。

 小野さんはこの盲点に焦点を…

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