第1回あなたの考え「陰謀論」か 議事堂侵入した男に聞いた

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バージニア州グウィンアイランド=藤原学思
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 「大統領選では、投票集計機のメーカーが票の操作をした」「ディープステート(影の政府)が、裁判所も掌握している」――。昨年にあった米国の大統領選では、こうした根拠のない情報が拡散した。現職大統領のドナルド・トランプも「選挙が盗まれた」と主張し、1月6日にはその支持者が連邦議会議事堂を襲撃し、5人が死亡する事件まで起きた。

 支持者たちはなぜ、こうした「陰謀論」を信じたのか。当事者の1人に聞いた。

ポッドキャストでは、この当事者へのインタビュー音声も交え、藤原学思記者が解説します。

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拡大する写真・図版陰謀論 溶けゆくファクト① グラフィック・米沢章憲

 「また逮捕された。ついさっき、FBI(連邦捜査局)の現地事務所と、連邦裁判所から自宅に戻ってきた」

 ダグラス・スイート(58)から記者にそんなメッセージが届いたのは、13日午後8時46分のことだった。

 襲撃事件が起きた6日、スイートは現場で警察に現行犯逮捕された。AFP通信のフォトグラファーが、その瞬間を撮っている。

 事件を重点的に捜査しているFBIは13日、スイートの身柄を再び拘束し、重罪の連邦法違反で捜査に乗り出した。米メディアによると、侵入者は800人前後に上るといわれ、スイートもその1人だ。ワシントンの連邦裁判所に提出された起訴状によると、法的な権限なく、故意に制限区域内に入ったり、連邦議会議事堂で無秩序な行為をしたりしたとされる。

 当局から、初公判前の勾留は必要ないと判断されたスイートは、「出頭命令に従う」という誓約書を書き、保釈金なしで釈放された。自宅に置いた銃器5丁を預けることや、20日の大統領就任式前後にワシントンへ近づかないことが条件となった。今後、連邦裁判所で裁判にかけられる見込みだ。

拡大する写真・図版「ずっと幸せに生きてきた」と話すダグラス・スイート=2021年1月14日、米バージニア州グウィンアイランド、藤原学思撮影

 FBIが逮捕した翌日、ワシントンから南に170キロほど離れたバージニア州グウィンアイランドの自宅に、スイートを訪ねた。庭には米国旗が掲げられ、小船が2隻、トラクターが3台、芝刈り機が3台置かれていた。鳥の鳴く音がいくつも重なり、リスがそこかしこで散歩している。

 スイートは陽気だった。「私はね、日本人が大好きだ。日系米国人の友だちもいる」。そんな会話を交わした後、事件の経緯を聞いた。

米大統領選をめぐり、「票が操作された」「本当の勝者は違う」という、根拠のない陰謀論が絶えません。米国では連邦議会議事堂が襲撃される事件に発展し、日本でも拡散しています。こうした陰謀論はどこから生まれ、社会にどう影響するのか。シリーズで伝えます。

 昨年11月の大統領選では前…

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