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 第93回選抜高校野球大会の出場32校が29日、発表された。昨秋の公式戦の成績などを参考に、オンラインで開かれた選考委員会で決まった。昨年は新型コロナウイルスの影響で春、夏の甲子園が中止となっただけに、各校の選手たちは喜びを表すとともに、野球ができることへの感謝の気持ちも語った。

 出場決定の知らせに、智弁学園の主将山下陽輔(2年)は「日本一を目標にやってきた。近畿大会のように自分たちの野球をしたい」と力強く話した。昨秋の近畿大会は決勝で大阪桐蔭を破った。左腕西村王雅(おうが)(2年)、強打の前川右京(2年)を中心に安定した力を持つ。昨年も出場が決まっていたが、中止に。「かける言葉がなかった」と小坂将商(まさあき)監督。「選手たちはあれからよくまとまってやってくれた」

 昨秋の奈良県大会を制した天理が2年連続の選抜切符を手にした。中村良二監督は「うれしいというより、選んでいただいてありがたい」。長身から投げ下ろす直球やフォークが持ち味の右腕達(たつ)孝太(2年)は昨秋の7試合全てに先発し、6試合完投。近畿大会は準々決勝で大阪桐蔭に逆転負けを喫した。達は「負けた悔しさで冬、がんばってきた。リベンジを果たしたいです」。

 上田西の部員たちは初の出場が伝えられるとガッツボーズで喜び合った。昨秋の北信越大会準決勝で強豪の星稜(石川)に逆転勝ちしたものの、決勝で敦賀気比に5―16と大敗。当時の得点経過を学校のグラウンドのスコアボードに残し、主将の柳沢樹(2年)は「準優勝でも浮足立つことなく練習してきた」。吉崎琢朗監督(38)は「格上のチームばかりなのでまず1勝」と話した。

 10年ぶり13回目の出場を決めた北海は、今年で創部120周年を迎える伝統校だ。左腕・木村大成は最速145キロの直球とスライダーが持ち味で、昨年の秋季地区大会と道大会で計72奪三振。準決勝、決勝は連続完封した。節目の年の出場に、木村は「伝統を引き継いで甲子園という最高の舞台に立てることがうれしい。テンポを意識して、攻撃につながるピッチングをしたい」と抱負を語った。

 下関国際は3年ぶり2回目の出場。昨秋の中国地区大会では準優勝した。積極的に盗塁を狙う機動力と、終盤で点を重ねる粘り強さで、2018年夏の甲子園ベスト8超えを目指す。

 部員41人のうち31人が1年生。1年生ながら主将の賀谷勇斗は「2年中心のチームが多いと思うが、1年生らしく思い切って向かっていきたい」。05年就任の坂原秀尚監督(44)は「守備力、投手力、走塁を思う存分発揮したい」と話す。

 市和歌山の選手たちは、グラウンドで吉報を聞いた。注目が集まるエース小園健太(2年)と、捕手で主将の松川虎生(こう)(同)は「中京大中京と対戦したい」と口をそろえた。2人は中学時代から同じチームでバッテリーを組んだ。中京大中京のエース畔柳亨丞(2年)とは中学時代に対戦経験があり、1―0で勝利したという。ともに大会屈指の右腕として注目される小園は「甲子園でも対戦したい」と意気込んだ。

 2人の帽子のつばには、同じ「最高のバッテリー 勝利」という文字が記してある。昨夏の県独自大会3回戦で、智弁和歌山に4―7で敗れた。その悔しさから、2人の決意を互いに書きあったという。大会へ向けた思いは、ともに「日本一」。選抜大会とその先にある夏の甲子園のマウンドで、日本一になって笑い合うと、心に決めている。

 OBの鍛治舎(かじしゃ)巧監督が指揮を執る県岐阜商は、2年連続の出場。昨秋の東海大会では決勝で四回表までに6点リードしたが、2年連続で中京大中京に敗れた。主将の高木翔斗は「悔しかった。借りは甲子園で返す、と皆で練習してきた」と意気込む。公立校で、コロナで練習時間が制限されている。鍛治舎監督は「今できることを精いっぱいやるしかない。甲子園では普段通りのプレーで戦いたい」。

 宮崎商は52年ぶり3回目の選抜出場。守備から攻撃へのリズムをつくるのがスタイルだ。九州大会では主軸の主将、中村碧人(あおと)らが打力を発揮して4強入り。出場決定の連絡に中村は「うれしい気持ちでいっぱい」と声を弾ませた。

 中学時代に軟式で一緒だったメンバーを中心に、同校OBで就任4年目の橋口光朗監督を慕って集まった選手らが力をつけ、甲子園への切符をつかみ取った。

 21世紀枠に選ばれた八戸西は、春夏通じて初の甲子園。吉報が届くと、部員たちから「よし」「これからだぞ」と威勢のいい声があがった。「打倒私立」を掲げる県立校。188センチの長身エース福島蓮を中心に、昨秋の東北大会で8強に勝ち残った。小川貴史監督は「地元の期待を感じていたので、うれしい」。主将の宮崎一綺(かつき)は「出るだけじゃなく、しっかり勝ちたい」と語った。

 東海大甲府は5年ぶりの出場だ。エース左腕の若山恵斗は制球力が高く、牽制(けんせい)球のうまさも光る。昨秋の関東大会準々決勝では東海大相模を粘りの投球で1失点に抑え、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。バッテリーを組む主将の三浦諒太を中心に守りは堅く、持ち味のつなぐ打線は切れ目がない。村中秀人監督は「一戦必勝で頂点を極めたい。そのようなチームづくりをしてきた」と話す。

 創部35年で、春夏通じて初めての甲子園出場が決まった県立の柴田(宮城)。「守備からリズムを作る」野球で、昨秋の東北大会1試合の平均失策を一つ以下に抑え、準優勝した。「やっと、このステージに来られた」と平塚誠監督。東北大会で球数制限数の500球を投げたエース谷木(やぎ)亮太(2年)は「甲子園は入学からあこがれの場所だった。挑戦者の気持ちを持って戦いたい」と力を込めた。

 広島新庄は2年連続3回目の出場。昨秋の中国大会では攻守の粘り強さが光り、準々決勝以降はすべて1点差で制して優勝した。急成長を遂げた本格派右腕の花田侑樹(2年)と、昨夏の甲子園交流試合で登板した技巧派左腕・秋山恭平(2年)の二枚看板がチームを引っ張る。過去4度の甲子園出場に導いた前任の迫田守昭氏から引き継いだ就任1年目の宇多村聡監督は34歳。「投手が安定しているので、持ち味の守り勝つ野球ができる。日本一をめざして戦いたい」と力を込めた。

 京都国際は春夏通じて初の甲子園。主将の山口吟太(2年)は「個々の能力は他校より低くても全力プレーでは負けない」と意気込んだ。いずれも1年生の左腕森下瑠大(りゅうだい)、右腕平野順大(じゅんた)の二枚看板を軸に粘り強さが持ち味。森下はこの冬、カットボールを覚えるなど投球の幅を広げた。打撃にも自信があり、「二刀流で活躍したい」。同校の前身は京都韓国学園で校歌は韓国語。平野は「まだあまり歌えない。しっかり覚えたい」。

 昨秋の関東王者、健大高崎の主将・小沢周平は「やっとスタートラインに立てた。これからだなという気持ちでいっぱい」。コロナ禍で短くなった練習時間で意識したのは、グラウンド整備を素早くやるなど無駄な時間を省くこと。密度の濃い練習で強打のチームを作り上げた。小沢は中止になった昨年の選抜でも中軸を担うはずだった。「先輩たちの思いも背負って戦う。打撃で甲子園をわかせたい」

 プロ野球の横浜(現DeNA)などで活躍し、昨年に母校・常総学院の監督に就任した島田直也監督は、吉報を聞くと「報告を受けるまで、心配でした」とホッとした様子を見せた。昨年11月には、恩師の木内幸男元監督が亡くなった。「選手のいいところを見つけて、試合に生かす監督だった。それは僕も似ているのかな」。木内さんを「追い越せ」という思いで、全国の舞台に臨む。

 近畿大会8強だった神戸国際大付に4年ぶりとなる出場の知らせが届き、選手たちはマスク越しに笑顔を見せた。主将の西川侑志(2年)は「日本一を目指せるワクワクした気持ちでいっぱいです」。エースの阪上翔也(2年)は最速145キロを誇る右腕で、打撃でも長打力が光る投打の柱。「皆の印象に残るような試合をしたい」と意気込んだ。

 21世紀枠で初出場の知らせが届いた東播磨は、昨秋の県大会準決勝で5盗塁を決めるなど、足を絡め相手の隙を突く野球が持ち味だ。主将の原正宗(2年)は「甲子園でも全力で走る姿を見せ、面白いチームだと思ってもらいたい」と意気込む。チームを率いるのは、同じく公立校の加古川北を2度甲子園に導いた福村順一監督(48)。「普通の公立校でも、強い気持ちで取り組めば達成できる」

 専大松戸(千葉)は創部62年目で初の選抜出場。主将の石井詠己(えいき)(2年)は「すごい選手はいないが、組織力や徹底力が持ち味。1点をもぎとり、強い相手に1勝したい」と意気込んだ。昨秋の県大会は準決勝で敗れ、開催県枠で関東大会へ。右横手の深沢鳳介(おうすけ)(同)が多彩な変化球を武器に2試合連続完封し、4強に進出した。持丸修一監督は「コロナ禍でも一生懸命にやってきた子どもたちへのご褒美だと思う」と笑顔だった。

 昨秋の東北大会で2連覇を果たした仙台育英が、2年連続14回目の出場を決めた。プロ注目の最速147キロ右腕・伊藤樹(2年)を筆頭に140キロ以上の速球を誇る好投手がそろう。東北大会を通じての失点はわずか3だった。主将の島貫丞(2年)は、3月に東日本大震災から10年を迎えることを念頭に、「節目の大会の代表に見合った活躍をして、まだない日本一を取りたい」。

 明豊(大分)は3年連続で春の切符をつかんだ。川崎絢平監督は「(昨春の中止に泣いた)3年生の新しい門出の時期にある大会。背中を押せるよう、いい試合をしたい」と話した。

 昨夏の甲子園での交流試合では県岐阜商に4―2で勝った。九回に救援した太田虎次朗(2年)は「本塁打も打たれ、自分らしい投球はできなかった。こんどは思い切った投球をしたい」と意気込んだ。

 2016年創部の聖カタリナは春夏通じて初の甲子園出場だ。松山市内のグラウンドに集まった関係者はみんな笑顔で、拍手がわき起こった。39歳の越智良平監督は「1期生からのバトンがつながった」。昨秋の愛媛県大会優勝、四国大会準優勝に大きく貢献したのはエースの桜井頼之介(よりのすけ)(2年)。最速145キロの直球と鋭いスライダーを持つ右腕は、「夢見ていた舞台。自分の投球で戦い抜く」。

 福岡大大濠は4年ぶり5回目の出場。昨秋の九州大会はエース左腕の毛利海大(かいと)(2年)が初戦を1失点で完投、続く準々決勝は完封でチームに勢いを与えた。冬は課題の制球力を磨くために下半身を強化。八木啓伸(ひろのぶ)監督と「交換ノート」をかわしてアドバイスをもらい、二人三脚でさらなる成長をめざしてきた。毛利は「甲子園では控え投手を出させないように1人で投げきりたい」。

 春夏通じて初めての甲子園に出場する具志川商の選手たちは沖縄・うるま市とその周辺の出身者ばかりだ。投手力と積極的な盗塁で昨秋の県大会準優勝、九州大会で8強入りした。昨秋に初めて140キロ台を計測したという伸び盛りのエース新川(あらかわ)俊介は「持ち味のストレートを生かして、力強い投球をしていきたい。沖縄の方々の期待にはプレーでしっかりと恩返しできたらいい」と話した。

 鳥取城北には2年連続3回目となる吉報が届いた。中国大会準決勝では、優勝した広島新庄に1点差で惜敗した。昨夏の甲子園交流試合に1番打者で出場した主将の畑中未来翔(みくと)(2年)を中心に、ビッグイニングを作れるのが強みだ。初出場した2012年は初戦で敗れ、2回目だった昨春は中止になった。県勢も08年を最後に選抜の勝利から遠ざかる。畑中は「チーム全員で戦う。日本一を目指す」と意気込む。

 中京大中京の選手らは帽子を舞わせたりせず、落ち着いて出場の知らせを聞いた。「先輩たちの思いを背負って日本一をつかみたい」と主将の原尚輝。高橋宏斗(中日入り)を擁しながら、大会中止で涙をのんだ1学年上の分も暴れ回る覚悟だ。最速151キロの速球を持つエースの畔柳(くろやなぎ)亨丞(きょうすけ)は「分かっていても打たれないストレートを意識して投げる」と力強く宣言した。

 敦賀気比は、昨秋の北信越地区大会では準々決勝と準決勝を延長で競り勝ち、決勝では2桁得点で快勝。主将の大島正樹(2年)ら前チームで活躍した経験豊富な選手が多く、打線は勝負強い。目指すは2015年以来の優勝だ。大島は「日本一を目指し、大会までの練習で個々の力を高めていきたい」。東哲平監督は「堂々と自分たちの戦いをしてほしい」と期待した。