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 中国外務省の趙立堅副報道局長は29日の定例会見で、香港市民の一部が持つ「英国海外市民(BNO)旅券」について、「31日から旅券や身分証として認めない」と述べた。英国政府が31日からBNOの資格を満たす香港市民に対し、英国移民に道を開く特別ビザの申請を始めることに反発した。

 BNO旅券は香港の宗主国だった英国が1997年に香港が中国に返還される前に生まれた香港市民が申請できるもので、保有者は英国の居住権はないものの、海外で英国政府の領事保護が受けられる。香港紙明報によると、BNOの資格を満たす香港人は290万人いるという。

 英国政府は昨年7月、中国共産党に批判的な民主派らを取り締まる香港国家安全維持法(国安法)が施行されたことに対抗し、BNOの資格を満たす香港市民に5年間、英国で就職や就学ができる特別ビザを発給する方針を発表。さらに1年滞在すれば市民権も取得できるようにした。

 29日の会見で、特別ビザの発給が始まることについて問われた趙副報道局長は、「中国の主権を著しく侵害し、荒々しく香港や中国の内政に干渉している」と主張。BNO旅券を旅行の際の証書として認めないだけでなく、「さらなる措置をとる権利を留保する」とも述べた。

 香港人はBNO旅券のほかに香港特別行政区の旅券も持てるため、ただちに香港から出境ができなくなるなどの具体的な影響はなさそうだ。しかし、香港メディアによると、中国政府と香港政府はBNO旅券を持つ市民について、選挙権などの権利を制限する案も検討しているとされ、今後影響が広がる可能性がある。(広州=奥寺淳)