さいたま市の21年度予算案 最大6118億円

森治文
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 【埼玉さいたま市は29日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は過去最大の6118億円で前年度より491億円(8・7%)増えた。新型コロナウイルス感染拡大による税収減を借金や国庫からの支出で補う一方、歳出が増えた分はコロナ対策関連と待機児童解消策で急増する保育園への補助金の増加などが多くを占めるなど、身動きが取りにくい財政事情が浮かび上がる。

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 市税収入はその半分近くを占める個人市民税が前年度当初比2・8%減の1299億円なのに対し、法人市民税は企業収益の悪化で前年度の181億円から126億円へと約3割減を見込む。コロナ禍に伴う固定資産税の軽減分をまかなう地方特例交付金を含めても前年度より約90億円目減りする。

 このため借金にあたる市債発行額は、将来的に国の地方交付税で補う205億円分の臨時財政対策債(臨財債)を含めると、前年度より177億円多い687億円。借金の借り換えで市債が膨らんだ04年度を除いて最も多くなった。貯金にあたる財政調整基金からの取り崩しも前年度より16億円多い126億円に上っている。

 こうしてひねり出したお金の使い道のうち、前年度当初予算にはなかったコロナ関連費は、感染症対策費113億円や収益が悪化した中小企業が無利子・低利融資を受けられるよう市が金融機関に預け入れる「預託金」の増加分197億円などとなっている。

 ただ、ワクチン接種関連の79億円や入院医療費公費負担、PCR検査センターの設置といった国庫支出金などで使い道が決まっていたり、今年度の補正予算ですでに始まっていたりする事業の支出がほとんど。市単独事業は病床を確保した病院などへの補助と高齢者施設職員、新規入所者らの検査費用補助の計約10億4千万円などで独自色や新味は薄い。

 市が歳出の3本柱に挙げたのは、これらコロナ対策と自然災害対応、市誕生20周年を踏まえた未来への投資と祝祭事業、行政・民間企業のデジタル化推進だ。

 災害に対しては防災情報伝達用のスマホアプリを新規作成。また、将来世代に向けて脱炭素社会に取り組んだりAI(人工知能)などを活用して健康や交通分野で生活の質的向上につながるスマートシティーのお手本作りを進めたりする。

 祝祭事業は、市誕生20周年記念式典や開催が危ぶまれる東京五輪パラリンピックでのおもてなし行事や装飾、選手と市民の交流など。デジタル化では市税納付のキャッシュレス決済導入やオンライン窓口の拡充、中小企業の生産性・付加価値向上を図る。

 一方で、前年度と比べて保育園や認定こども園などの運営補助費が63億円、生活・就労支援など障害者自立のための給付金などが29億円増え、コロナの検査費用も含めると扶助費(福祉医療関係費)は103億円増の1424億円となり7・8%伸びた。

 その結果、人件費や借金返済を意味する公債費と合わせた義務的経費が一般会計に占める割合は、14年度の48・7%から21年度は53・6%に。投資的経費のうち、ほとんどを占める普通建設事業費は大宮区に建設中の市民会館の整備など777億円(12・7%)にとどまり、14年度の17・4%から先細り。財政の硬直性が進むほど比率が高まる決算ベースの経常収支比率も悪化している。

 借金返済額(公債費)と新たな借金(市債発行額)の差を示すプライマリーバランスも国の手当てが見込める臨財債を除けば、17年度以降、決算ベースで赤字続き(20年度は見込み)。21年度当初予算も発行額の方が99億円上回り、借金は膨らみ続けている。

 新年度当初予算案や犯罪被害者を公的に支援する条例制定案など65議案は2月2日から始まる市議会2月定例会に提案される。(森治文)

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 さいたま市が新年度から始める施策として、公園の公募設置管理制度(パークPFI)を本格的に導入する。指定管理者制度より事業者の柔軟な運用が可能なため、カフェなどを開いたり運動施設や遊び場に工夫をこらしたりして、多くの人がより楽しめる空間に生まれ変わらせる試み。第1号は、南区の別所沼公園となる見込みだ。

 業者選定の公募や有識者委員会設置のため、2021年度予算案に431万円を計上した。22年度から選定業者が一体的な整備に取りかかれるように準備を進める。

 パークPFIは都市公園法の改正で17年以降、全国各地の老朽化した公園などに適用されている。角川文化振興財団が運営する所沢市の東所沢公園など、昨秋までに16カ所に上る。

 さいたま市も公園の魅力を再び引き出す改修に民間資金の活用をしようと、この仕組みを採用。住宅街にある別所沼公園については周辺住民にも配慮しながら、静かさとにぎわいが両立するような空間づくりを目指す方針という。

主な新規事業

就学援助世帯へのオンライン学習通信費支給(6577万円)

▽小中学校の水泳授業の民間委託(420万円)

▽災害避難所の中学体育館6校空調設置の設計(1847万円)

犯罪被害者に対する相談・支援(1253万円)

▽私立幼稚園の入園料一部補助(1億2282万円)

▽市誕生20周年に伴う魅力発信や装飾(4811万円)

医療的ケア児受け入れ保育所支援(3364万円)

▽幼稚園への駅周辺送迎ステーション整備(1560万円)

▽大宮駅周辺の歩きたくなる街創出事業(541万円)

※金額は1万円未満を四捨五入