「存在しない母子」が生きた日々 無戸籍女性の餓死まで

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山本逸生
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 大阪府高石市で5年前、70代の男性が亡くなった。暮らしていた一軒家の相続者はおらず、市は所有者のいない「無人の家」と判断した。だが、水道メーターは動き、部屋の明かりはともっていた。その矛盾に誰も気付かず、昨年、高齢の女性が餓死しているのが見つかった。戸籍のない、男性の内縁の妻だった。

 市中心部の住宅街にある築50年余りの木造2階建ての家屋。室内のベッドの上に、やせ細った女性が横たわっていた。

 昨年9月22日朝のことだ。「住人が死んでいる」。近所の人の通報で、警察官が駆けつけた。府警による司法解剖で、栄養失調による餓死とわかった。一緒に暮らしていた息子も衰弱しており、警察に保護された。

 母子には戸籍がなかった。市などによると、息子はその後、「生活費が底をつき、8月末に2人でそうめんを食べた後は、水と塩でつないでいた」と打ち明けた。弱っていく母を見守っていたが、「戸籍がないので、救急車を呼んだり、役所に相談したり、助けを求めにくかった」とも話したという。

自治会費も8月分まで支払い、困窮に気付いた人はいなかったとみられる「普通の世帯」。親子に何が起こったのでしょうか。

 周囲には、夫に先立たれた高…

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