持続可能な農業を考える 世界経済フォーラム座談会

編集委員・北郷美由紀
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 飢餓の危機と、大量の食品廃棄。農畜産業による環境への負荷。食料生産をめぐる矛盾と課題を解決する道筋を考えようと、朝日新聞社は、世界経済フォーラム(WEF)が25日から29日までオンラインで開いた「ダボス・アジェンダ」で座談会を共催した。

 テーマは「食料システムの変革と土地利用」。コロナ下の緊急食料支援でノーベル平和賞を受賞した世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長、農業改革に力を入れるオランダのマルク・ルッテ首相、中国最大の乳製品会社である蒙牛乳業の盧敏放・最高経営責任者(CEO)、オランダに本社を置く化学会社ロイヤルDSMのジェラルディン・マチェット共同CEOが、朝日新聞SDGsプロジェクトの国谷裕子エグゼクティブ・ディレクターの司会で話し合った。

 WFPのビーズリー事務局長はコロナの影響で飢餓人口が約2億7千万人増え、空腹のまま就寝する人は約7億人いると指摘。国際機関やNGOの活動に企業が加わることで支援を強化できると述べた。「食料不足は政情の不安定に直結するので、安全保障の問題でもある」として、途上国の小規模農家への支援も強調した。

 食料増産のための森林伐採などが地球の温暖化に拍車をかけている問題では、DSMのマチェット共同CEOが、飼料改良を通じて家畜からの温室効果ガスを抑制している例を紹介。「環境への負荷を減らす農家が正当に報われるようにすることが重要で、そのための技術はある」と訴えた。

 蒙牛乳業の盧CEOは、デジタル技術を活用した需給予測と生産管理で製造と輸送に伴う二酸化炭素(CO2)を減らす取り組みを説明。「中国の9割の家庭に製品を届けているので、栄養や食品廃棄の問題を知ってもらう活動にも力を入れていく」と述べた。

 オランダのルッテ首相は、技術革新を通じて社会全体で食料システムを持続可能にする必要性を強調した。そのために世界経済フォーラムのなかで新たにプロジェクトを進める計画も発表。「持続可能な農業を追求することは温暖化対策生物多様性の保護につながるだけでなく、新たな雇用を生み出す大きなチャンスだ」と述べた。

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セッションの様子はhttps://www.weforum.org/events/the-davos-agenda-2021/sessions/transforming-food-systems-and-land-use-eastern-hemisphere別ウインドウで開きますで公開しています。会議は英語で、日本語の同時通訳付き音声も画面下の「Audio」から選択できます。(編集委員・北郷美由紀)