豪雨で蔵書12万7千冊廃棄した図書館、2年半後に復活

菅野みゆき
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 2018年7月の西日本豪雨で被災、蔵書12万7千冊を廃棄し閉鎖されていた岡山県倉敷市立真備図書館(同市真備町箭田)が30日再開した。「八つ墓村」「犬神家の一族」などで知られ、太平洋戦争中に真備に疎開していた推理小説横溝正史(1902~81)の作品をそろえたコーナーも、遺族や市民の寄贈などで無事に復活した。

 図書館は豪雨で3・5メートル浸水し、1階は完全に水没。水につかったほとんどの蔵書を失った。

 市民や慈善団体が書籍や資金を寄付。約10万冊をそろえるなどして再開にこぎ着けた。横溝正史の次女野本瑠美さん(81)=東京都世田谷区=も協力を惜しまなかった。

 野本さんは18年11月、横溝作品の主人公・金田一耕助探偵のファンが全国から集まる現地の催しに参加。被災状況を目の当たりにし、同時に地元やファンの熱い思いに触れた。親族にも呼びかけ、200冊以上の横溝作品を寄贈した。「真備のみなさんには(疎開中に)親切にしていただき、今も忘れられない」と話す。

 再開後の館内は、奥にあった「横溝正史コーナー」が入り口付近の目立つ場所で復活。以前の900冊には及ばないが、380冊が並ぶ。利用が多い高齢者のために書棚は約15センチ低くなり真新しい本が並んだ。見通しがよくなり、雰囲気も変わった。貸し出しカウンター前にはさっそく列ができて、30冊以上の本を借りる家族もいた。

 市立真備中3年の川原陽菜さんは自宅が浸水して、持っていた本を失った。「工事の様子を楽しみに見ていました。受験も終わったので、これからは好きなだけ読めます」と笑顔で話していた。

 同館入り口正面に飾られていて水損した井原市出身の画家片岡銀蔵「裸婦」(1954年)も、吉備国際大文化財総合研究センター(高梁市)が修復し、以前と同じように来館者を迎えている。(菅野みゆき)