川崎市の特養2施設、一時休止へ 入居81人転居の必要

大平要
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 川崎市は、指定管理者制度で運営する特別養護老人ホーム2施設について、3月末で一時休止することを決めた。建物を無償譲渡し、民設民営への移行をめざして運営者を公募したが、応募が無かった。計81人の入居者は、別の施設に移らなければならず、現在の運営者からは市の姿勢に疑問の声も上がる。

 休止するのは、中原区の「こだなか」(定員50人)と高津区の「陽(ひ)だまりの園」(同)。現在は土地と建物を市が所有し、それぞれ別の社会福祉法人が運営している。

 市は2018年に策定した計画に基づき、指定管理者制度で運営する市内8カ所の特養ホームの建物を、21年度に民間に譲渡する手続きを進めてきた。5カ所については現在の指定管理者が譲渡を受け、そのまま運営することが決まったが、2施設を含む3施設は最終的に応募が無かった。

 市によると、このうち多摩区の「しゅくがわら」(定員68人)は、現在の指定管理者が3年間継続して運営することが決まった。だが、2施設は条件面で合意できず、運営継続が困難になった。市は来年度以降に再度、運営者を公募する方針だ。

 市の公募では、土地は市が所有したままで、運営終了後は運営者が建物を撤去するとした。建物の修理や設備の更新などの投資も運営者が行うとされる。

 こだなかを運営する白山福祉会は「老朽化した建物で、定員50人ほどの規模ではとても運営できない」として、昨年5月には撤退を市に伝えた。小規模施設を再編し、より規模の大きな施設にすることを提案したという。

 陽だまりの園を運営する照陽会は民設民営は受け入れられないものの、昨年末には、市に対して水漏れが起きているエアコンの改修を市が行うことなどを条件に、指定管理者として運営を継続する意思を伝えた。だが市は今月、今年度いっぱいでの休止を法人に通達した。

 施設の責任者は「市には要望を聞こうとする姿勢がみえず、今のままでは運営を続けることができない。コロナ禍に移動しなければならない負担も含め、入居者に申し訳ない」と話す。

 運営法人との交渉にあたった市高齢者事業推進課の中村隆永課長は「入居者や家族に申し訳ない」と述べ、まずは移転先の調整を進めるという。「各法人に引き続き運営してほしいと思っていたが、先行きの経営への不安などに明確に応えることができず、反省するしかない」と話す。再公募にあたっては、応募がなかった理由を検証し、条件などを見直す方針だ。(大平要)