文旦の魅力発信 土佐文旦アンバサダーの松田雅子さん

湯川うらら
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 皮がふた代わりになっている「サプライズ文旦」や皿鉢(さわち)料理用の大皿にぎっしり並べた「文旦皿鉢」。高知県が全国の出荷量約9割を占める土佐名産のかんきつ類「文旦」を楽しむ方法を、高知市の「土佐文旦アンバサダー」の松田雅子さんが発信している。文旦愛が生んだ活動への思いを聞いた。

 ――文旦との出会いは

 1989年、結婚を機に春野町(現・高知市)に移りました。近くの山は土佐文旦の栽培地。毎年大量のおすそ分けをいただき、とにかく食べないといけない。家事と仕事が一段落した後、毎晩5~6個をむくのが日課になりました。

 甘酸っぱい香りに包まれながら、無心で文旦と向き合うと、その日の嫌な出来事や悲しみが消えていく。かけがえのない時間です。

 むいた文旦は「ばくばく食べられる」と大人気です。ご近所や知り合いなどいろいろな人たちに贈ってきました。親戚の子どもたちからは「文旦おばちゃん」と呼ばれています。

 ――文旦をむくコツや盛り付け方を発信している

 「文旦ムキムキ」を続ける中でコツに気が付きました。房ごとに分けて1時間くらい乾燥させると、早く美しくむける。専用の道具もある。「文旦はおいしいけど皮が分厚くてむきにくい」という声を聞いていたので、「これは言わんといかんやろ」と。

 高知人の「おせっかい精神」が出ましたね。2012年からユーチューブで動画を発信し、タカノフルーツパーラー(東京都)など県内外で講座を開くようになりました。

 ――文旦の魅力は

 果肉を光にかざすと、宝石のように美しい。果肉の一粒一粒の中に水分が凝縮されているからです。甘み、酸味、苦みのバランスが絶妙で、一流の料理人からの評価も高い。サラダ、カルパッチョ、ハンバーグ、大福、カクテルなど幅広く活用できる。ビタミンCも豊富ですよ。

 ――20年にドキュメンタリー映画「文旦好きがこうじて」を制作した

 農家さんの仕事を知れば、より文旦を好きになってもらえる。そう思い、クラウドファンディングで協力者を募りました。実は、文旦の栽培は非常に手間がかかります。一つ一つ手作業で受粉させ、低温で傷まないように、早めに収穫して追熟させる必要がある。高齢で辞める生産者が増える中、高知の文旦を守っていきたいのです。

 新型コロナウイルスの影響で上映会は中止になりました。文旦や道具とのセットで販売するなど、多くの人に映画を見てもらえる企画を考えています。

 ――今後は

 「文旦が好き」がきっかけで、やりたいことを認めてもらい、素敵な人たちとつながることができました。「生きている」って感じがします。文旦は幸せを呼ぶフルーツですね。これからも、自分らしく、ナチュラルな形で文旦の魅力を伝え続けていきたいです。(湯川うらら)

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 まつだ・まさこ 1962年、高知県佐川町生まれ。大阪芸術大学卒。高知市の編集事務所「アトリエよくばり子リス」代表。土佐文旦振興対策協議会の「土佐文旦アンバサダー」を務める。2017年に書籍「文旦好きがこうじて」を出版し、19年から情報誌「文旦ムキムキ通信」を発行している。