「日本の科学を元気にする普及団体を」 若手らが設立へ

石倉徹也
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 科学の普及を目的とする全国規模の団体をつくろうと、若手研究者らが1日、NPO法人「日本科学振興協会」(仮称)の設立に向けた準備委員会を発足させた。掲げるのは、対話を通じた多様で裾野が広い科学の振興。分野や組織、職種の垣根を越え、科学に興味がある誰もが参加できる団体として、6月の設立をめざす。

 発足に先立つ会見で、委員長を務める豊橋技術科学大講師の小野悠さんは「論文数の低下など、国際的な地位が低下している日本の科学を元気にしたい」と設立の理由を話した。同じく委員長の京都大特定准教授の馬場基彰さんは「垣根をこえた多様な科学ネットワークをつくり、みんなと科学を振興していきたい」と語った。

 モデルとするのが、12万人の会員が所属する「米科学振興協会(AAAS(トリプルエーエス))」だ。著名な科学誌サイエンスを発行し、科学予算の分析から科学教育活動まで担う世界最大の科学普及団体で、今回設立する協会は「日本版AAAS」との位置づけだ。国を代表するアカデミーである日本学術会議が、優れた研究者で構成される「科学者の代表」であるのに対し、協会は「誰でも参加できる」多様性が特徴だ。

 主な活動としては、市民イベントや科学番組の開設、最新の研究を伝える学術誌の刊行などを想定する。雇用が不安定な若手研究者の問題や博士課程への進学率の減少など、日本の科学技術が抱える課題について政策提言も出す。

 準備委に加わる藤田医科大教授の宮川剛さんは「提言を出すだけで終わらず、行政や政治家、企業の方々と密接に議論していく。多様な人々と対話することが我々の活動の肝だ」と話す。学会や大学、企業、市民組織とも連携する。

 協会の設立に向けて、大学の若手研究者や会社員、学生など46人が準備を進めている。協会のアドバイザーには、日本学術会議会長の梶田隆章・東京大教授や原山優子・理化学研究所理事らが名を連ねる。

 今後、運営費をクラウドファンディングや企業の協賛などで募る予定だ。現在は、運営を担う委員や賛同者を募集中。問い合わせはメール(contact@jaas.groupメールする)。協会の詳細はホームページ(https://jaas.group/別ウインドウで開きます)へ。石倉徹也