めざせ「稼げる村」 熊本・産山村が新商品開発推進

後藤たづ子
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 熊本県産山村で、村の魅力を詰め込んだ商品づくりが進められている。阿蘇山とくじゅう連山の間に広がる豊かな自然、そこで育まれた農産物に恵まれている割には認知度が低い村をもっとPRし、働く場づくりにも結びつけていこうという村の戦略。このほど住民による4商品が発表された。

 商品開発は、村が隣の同県南小国町のまちづくり会社「SMO南小国」に委託し、村内の飲食店主らに参加を呼びかけて開催したものづくり教室「阿蘇ファーマーズキャンプ」の中で進められた。昨年7月から毎月集まり、県内外での成功事例を手がけた商品開発者らの助言も得ながら、各自が持ち寄ったアイデアを具体化させた。そうしてほぼ出来上がった商品を4グループが昨年末に披露した。

 商品の一つ、乾燥させた花や有機野菜を使った食品のセット「+botanical ubu(プラスボタニカルウブ)」は、女性3人のコラボ品。レストランで自家野菜を使った料理を提供している武本多恵さん(51)は、サラダなどにかけるドレッシングのもとと、ハーブティーを作った。玉利和代さん(50)は栽培した食用花を、お茶に浮かべたりお菓子や料理に入れられるように加工。石川順子さん(48)は、お酒に浸してクラフトジンができる乾燥野草を開発した。発表会では「花などを乾燥させ、いつでもどこでも販売できるようにした」などと商品への思いを語った。

 そのほかの3商品も、旬の野菜で作った「濃厚ベジみそ」、原木シイタケとニンニクを使ったペースト「原木しいたけのタプナード」、村特産のチンゲンサイなどを使用した「草原グリーンカレー」と、産山らしい素材を生かしている。

 人口1500人弱の同村は、子どもたちが高校進学と同時に村を出て戻ってこない傾向が強く、農業を中心にした産業の衰退にもつながっていた。村は2029年度までの村づくり計画で「稼げる村」を目標の一つに掲げた。自力で小さな経済を立て直し、将来の定住者や移住者の増加に結びつけるとし、商品開発をその取り組みのスタートと位置づける。

 今回生まれた4商品はこれから阿蘇地域の宿泊施設や小売店と商談を進めながら、改良策や売り出し方を検討する。村ではふるさと納税の返礼品にも加える方針。村の19年のふるさと納税寄付額は約510万円にとどまっており、新商品を軸にてこ入れしてアピール力を高める考えだ。

 ものづくり塾教室を企画したSMO南小国は、南小国町でふるさと納税の返礼品開発や商品紹介ページの改良を進め、年間寄付額を1年で約1億8千万円から約7億5千万円に伸ばした実績がある。「連携して地域を盛り上げたい」と隣村の事業を引き受けた。産山村企画振興課の担当者は「村のPRと財源確保、村民の所得向上や働く場づくりを同時に目指したい」と話す。(後藤たづ子)