自宅待機に工場停止…ミャンマーの日系企業、対応を検討

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 国軍がクーデターを起こしたミャンマー。民主化に伴う急成長を見込み、現地に展開する日本企業は400社を超える。関係者は1日、現地の従業員の安否確認や自宅待機の指示に追われ、一部では帰国の検討を始めるなど、急転する状況の中で対応に追われた。

 2011年の民政移管後、東南アジア諸国連合(ASEAN)で人口で5番目の規模のミャンマーには、急成長する市場を当て込んで日本企業も多く進出した。日本貿易振興機構(JETRO)によると、進出企業数は11年度末の53社から、20年12月には433社へと急増した。

 ミャンマー初の経済特区である最大都市ヤンゴン郊外の「ティラワ経済特区」には、開発当初から住友商事三菱商事、丸紅の3社が参画。日本政府も電力網やアクセス道路の整備、港湾の拡張などに計1千億円近くの円借款を供与するなど支援を続けてきた。

 99年に進出し、新車市場で6割のシェアを握るスズキは1日午前、ティラワ地区を含む二つの完成車工場を通常稼働させたが、非常事態宣言を受けて午後の生産を中止した。朝までは従業員の通勤に支障はなかったという。9月には約120億円をかけた新工場が同地区に稼働予定で、「市場への影響がないか注視している」(広報)と気をもむ。トヨタ自動車は今月、ティラワ地区に初の完成車工場の稼働を予定する。予定通り稼働できるかについては「状況を確認中」(広報)としている。

KDDIは帰国も視野に

 携帯電話事業を現地企業などとともに全域で展開するKDDIは、従業員に自宅待機の指示を出した。日本人約20人は「現地の状況を踏まえ、帰国を含めて安全を第一に検討する」(広報)。日用品大手のユニ・チャームは、ヤンゴンにある工場やオフィスで働く従業員を自宅待機にした。おむつなどをつくる工場の操業を一時止める方向だ。

 キリンホールディングス(HD)は、現地企業との合弁の子会社から配当金が国軍に流れているとの指摘を外部から受け、配当を昨年11月に停止した。今回の国軍の動きについてキリンHDは「現状を注視していく」(広報)とのコメントにとどめた。

 15年に開業したヤンゴン証券取引所日本取引所グループ大和証券グループ本社が資本参加するなど、日本企業はミャンマーの金融インフラの整備にも深く関わってきた。

 太陽生命は、現地企業との合弁で展開する保険営業の11拠点を閉鎖。約300人の従業員に在宅勤務の指示を出した。電話がつながりづらく、日本から通信アプリLINEによる安否確認で、現地で働く日本人4人の無事を確認した。

 邦銀で初めて15年にヤンゴンに支店を開いた三菱UFJ銀行は、日本人数人と現地従業員の計約70人が働く。広報担当者は「従業員は全員無事で現時点で休業していないが、情報収集を続けて今後の対応を検討する」と話した。