地域でお金回せ! 電子地域通貨、南島原で始動

小川直樹
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 長崎県南島原市で1日、市内だけで使える電子地域通貨「MINA(ミナ)コイン」の運用が始まった。地域の中でお金を循環させることで、地域経済の活性化をめざす県内初の試みだ。地元の商工関係者も期待を寄せている。

 1日正午、松本政博市長は市役所隣のショッピングセンターで弁当とお茶をレジに持ち込み、MINAコインのQRコードをスマホで読み取った。金額を入力し店員に見せ、画面をタッチすれば決済終了だ。「まちが過疎化し、人もお金も流出している。コロナ禍で売り上げが落ち込んだ事業者が浮揚する呼び水になってほしい」と語った。

 MINAコインは、2019年秋にふくおかフィナンシャルグループ(FFG)から導入を提案された市が、商工会などと連携して準備してきた。アプリをダウンロードし、FFG傘下の十八親和銀行の市内窓口か、同行口座から現金をチャージすると1%のポイントが付与され、市内の加盟店舗で使える仕組みだ。

 目標の200を超える256店舗が参加。利用者数1万人が当面の目標だ。市は3月15日まで、チャージ金額の50%のポイントを1人最大1万ポイントまで付与するキャンペーンを始めた。

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 市は人口減と経済低迷に悩んできた。東京駐在員による企業誘致も成功せず、鉄道撤退で、車による買い物の傾向が強まった。

 市の試算では、13年の市民の支出総額約600億円の約6分の1が市外で消費されていたという。商工振興課の山崎誠参事は「この何割かでも市内で使われたら事業の意味がある」。

 商工会の岩永良広事務局長(62)は、通販市場拡大の影響を憂えていただけに、「地域の商店を見直すきっかけになってほしい」と期待を寄せる。

 かつて商店街だった同市口之津町の通りで呉服店を営む長池真人さん(61)は「人が減り、閉塞(へいそく)感も広がっている。何かやっていかないと」とMINAコインに加盟した。一方、同じ通りの婦人服店の女性(74)は「スマホは難しいし、うちの客も使う人はいないと思う」と加盟を見送った。

 スマホになじみのない人への普及は課題だと市も考えている。導入前の昨年12月、市内4カ所で高齢者向けにスマホ教室を開き、使い方を指導した。

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 電子地域通貨は近年、関東・関西圏などで導入例が相次いでいる。

 FFGは、地域が活力を失えば、銀行も商売が成り立たなくなるため、人口減が顕著な県内自治体に導入を働きかけてきた。

 「まず南島原で成功モデルを作りたい」と、十八親和銀行地域振興部の藤木裕隆さん(39)は話す。昨年10月から同市に移り住んで準備。事業者への説明に奔走してきた。まずは事業を軌道に乗せることが仕事だが、その先も見据える。

 「アプリを決済の手段として普及できれば、今後は納税やイベント、防災などの行政情報ともひもづけられる。まちづくりのインフラの役割を果たしてくれたら、と期待しています」(小川直樹)