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 群馬の県都の中心部に位置する前橋東照宮(前橋市大手町3丁目)が揺れている。「令和の大改修」と称して2月から本格化する改修工事をめぐり、氏子の一部ら地域住民や専門家の反対の声がやまない。昨年末には、市監査委員から市に対する土地利用をめぐる是正勧告でも当事者になった。創建400年を3年後に迎える神社に何が起きているのか。

 徳川家康らをまつる前橋東照宮は江戸初期の1624年、越前勝山(福井県)藩主で家康の孫の松平直基が創建。松平家の領地替えに伴って東照宮も移った。現在地には、川越(埼玉県)で明治維新前に解体された建物が、1871(明治4)年に移築された。

 改修工事で問題になったのは、1855年に川越で建てられた本殿と拝殿。東照宮は創建400年を前に、神体を安置する本殿を覆う形の高さ12メートル、建築面積330平方メートルの新たな社殿を建て、バリアフリーに対応した神前結婚式場とする改修を計画した。総工費は2億5千万円。拝殿は解体し、柱や彫刻など一部は新しい社殿に組み込む。東照宮によると、3人の氏子総代でつくる責任役員会での同意を経て、神社本庁に受理されたという。

 これに対し反対派は「本殿と拝殿は一体で保存すべきで、歴史的資産の破壊だ」として、工事中止を求める。東照宮は昨年11月、反対派に譲歩して拝殿を近くに移す案を示し、市にも移築場所を相談したが、反対派との協議は決裂。東照宮は「契約は済んでおり、工事中止はできない」として、当初計画に沿って進める方針だ。

 市は、市域に残る歴史的な街並み維持のため「歴史的風致維持向上計画」の策定に取り組んでいる。文化財を所管する市教育委員会文化財保護課の担当者も今回の改修に「非常に残念だ」と困惑。昨年10月に東照宮へ拝殿の保存を要望したが、計画が進んでいることを理由に拒まれたという。市は東照宮を重要文化財に指定しておらず、担当者は「市としてそれ以上は求められない」と話す。

 松平家17代当主の松平直泰さん(76)は「前橋空襲でも奇跡的に残った建造物であり市の宝。時の宮司の意向で解体し撤去するのは人災であり、ご先祖さまへの冒瀆(ぼうとく)だ。現在の形で残してほしい」と訴える。

 一方、東照宮は別の問題も抱え…

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