家事支援や児相も頼ったが 産後うつの末、浴槽に長女を

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高田誠
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 生後11カ月の長女を浴槽で水死させたとして、殺人の罪で懲役4年の判決を北海道釧路地裁で言い渡された母親(34)は事件当時、重いうつ病だった。判決は母親の責任能力を認めた一方で、「うつ病が犯行に影響した」とも指摘した。「産後うつ」への対処の難しさが改めて浮き彫りになった。

 「まじめで心配性、人見知り」。1月25日に始まった裁判員裁判で、母親の性格について元夫(事件後に離婚)の供述によって明らかにされた。長女は順調に育っていたが、決まった水分をとっていないと無理やり飲ませようとするなどした。頼れる親族は近くにいなかった。元夫が「周りと比べなくても大丈夫」と助言しても、母親は理想の育児についてネットで調べた。

 釧路市などによると、母親は産後3カ月以内が対象の市の支援事業を利用し、家庭訪問員に育児や家事の援助を頼んでいた。市はその後も訪問員を派遣した。

 検察側が明らかにした証拠によると、母親は「子どもをかわいいと思えないこともある。手を上げてしまわないか不安」と保健師に打ち明けていた。充電器のコードを長女の首に巻き付けようとしたり、こんにゃくをのみこんで自殺を図ろうとしたりしたという。

 2019年12月に精神科病院でうつ病と診断され、入院した。長女は児童相談所に預けられた。事件は3人暮らしを再開していた20年4月に起きた。

 1月29日の判決によると、女性は夫が仕事に出たあと、発熱で保育園を休んだ長女と二人きりだった。長女に大人用の薬を60錠以上飲ませたあと、浴槽に長女をシーツにくるんで入れ、シャワーで湯を注いでおぼれさせて殺害した。

 判決は精神鑑定をした医師の証言に基づき、「重いうつ病の影響で適切な行動の選択は困難になっていた」とする一方で、「殺害そのものにうつ病が直接的に影響していたとはいえない」と判断した。

 前日、検察官が論告で「長女はおぼれながら声を上げ、母親に懸命に助けを求めたのに報われなかった」と述べると、頭を上下に大きく揺らして嗚咽した母親。判決の読み上げを聞いたあと、静かに頭を下げた。

「母子ともに預かれる施設を」

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