「カメさんはきっと…」脱走を心配する園児に届いた手紙

笠原雅俊
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 脱走したカメの帰りを待つ高知県四万十市の「あおぎ保育所」に一通の手紙が届いた。京都市の女性からで、「カメさんはきっとどこかで元気に過ごしています」と励ましの文字が躍っていた。感激した園児たちは「ありがとう」と返事の手紙を書いている。

 手紙の送り主は京都市左京区の阿部かをりさん(77)。つばめ組の園児が大切に育てていた2匹のカメが昨年秋に脱走し、「カメさんどこ? 戻ってきて」と心配している様子を伝える朝日新聞の記事をインターネットで読んだ。

 阿部さんも2018年秋、自宅の水槽で大切に20年間飼っていたゼニガメが脱走した経験がある。冬になり雪が積もり、「寒いだろな」と心配する日が続いたという。

 翌春、阿部さんは病気になった。入院することになったある日、自宅の庭先にゼニガメが一瞬、帰ってきてすぐにまた消えた。スマートフォンで写真を撮った夫(77)が阿部さんに見せた。「間違いなくうちのカメだ」とうれしくて、気持ちも元気になったという。

 阿部さんは手紙に「寒い冬を越して、春に元気な姿をみせてくれて、またどこかへ行ってしまいました」と書いた。手術後、孫が「カメは、元気でいてねと言いに来たんだよ」と励ましてくれ、夏には無事、退院できた。そんなこともつづった。

 コロナ禍で重苦しいニュースが続くなか、「脱走したカメの帰りを待つ園児の姿にほっとした気持ちになり、思わずペンを走らせました」と阿部さん。

 園児たちは、担任の前田梢さん(39)が読む阿部さんの手紙を静かに聞いた。

 大山快ちゃん(6)は「ありがとうと返事を書きたい」と目を輝かす。藤川颯汰ちゃん(6)は「おばあちゃん、コロナにかからないでね」と話した。前田さんは「子どもたちは優しい文面に感動して、おばあちゃんに手紙を書こうと張り切っています」と話している。(笠原雅俊)