新たな出会いの形 AI婚活はキューピッドになれるか

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聞き手・中島鉄郎 聞き手・藤田さつき
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 AI(人工知能)による婚活サービスを利用する自治体を、国が財政的に後押しするという。だが、そもそもAIは「運命の人」を見つけるキューピッドになりうるのか?

石田純一さん 「結婚は文化」3度したからこそ言える

 なかなか結婚相手と出会えない人が、AIのマッチングで相手を見つけるというのは「あり」でしょう。テクノロジーを使わない手はない。

 医療もそうです。医師個人の経験より、大量のデータを客観的に処理できるAIの方が、正確な診断ができるはずです。子供を早く望んだぼくたち夫婦が不妊治療を選択し子供を授かれたのも、AI婚活と同じテクノロジーの恩恵になるでしょう。

写真・図版
俳優の石田純一さん

 1954年生まれ。80年代以降、青春ものを中心に映画やテレビドラマ、またバラエティー番組などでも活躍。

 ましてやコロナ禍で、男女が出会いにくい状況です。結婚という明確な目的意識がある人なら、AIを頼ってみたらいい。そもそも「恋愛は確率」なんです。好意を持った相手にも好かれる、なんてことは3割もない。AIの方が効率的な面もあります。

 ただ、これはあくまで「入り口」の話。結婚してから、どううまくやっていくかは違う問題です。AIで相性の良い相手と結婚しても、それを「相手も自分と同じ考えを持つ」と勘違いすると、違いに対し不寛容に陥ります。相手の沈黙が、無関心なのか、思いがいっぱい詰まった沈黙なのかを感じるにも、お互いの相違点をじっくり理解する時間が必要でしょう。

 ぼくがこう言えるのも、3回目の結婚生活で、結婚観が落ち着いてきたからでしょうか。2人の娘は公園に行くと、飽きることなく遊具でずっと遊んでいる。心に余裕がない30~40代の自分なら、1分1秒が惜しくて、こうした穏やかな時間の恵みも味わえなかった、と思います。

 その頃は、仕事で自分を表現したいというエネルギーが体にあふれ、疾走感覚で生きていました。結婚生活に自分を適応させられなかった、スイッチを切り替えられなかった、と今ならわかります。

 結婚という重要な出来事を、自分の人生の一つの挿話程度にしか位置づけられない時期がありました。自分を突き動かす衝動を手なずけられず、結果的にそのエネルギーが家庭外の女性に向かうこともあった。今も当時の妻には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、結婚が失敗だったとは思ったことはありません。

 結婚を描いた作品はたくさんありますが、ぼくは昔から、家族が自然の中で幸せに暮らす穏やかな「大草原の小さな家」的な作品よりは、既婚者なのに運命的な愛に人生を翻弄(ほんろう)されるトルストイの「アンナ・カレーニナ」のような激しく劇的な作品に引かれ、感動していました。

 ただ、現実の結婚とは、同じ空気を吸う場所の中で、心と心を触れ合わせ、すりあわせ、信頼を培っていく安定した日々が重要だと感じます。その昔、勝手に切り取られ、誤解されて広まった言葉をもじって言えば「結婚は文化」です。その営みの担い手は、AIではなく生の人間です。(聞き手・中島鉄郎)

記事後半では、AI婚活のポイントや成婚までの活用法について、言語学と計算社会科学の専門家2人の解説を紹介しています。

■川添愛さん 言葉に表せない…

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