カメムシが持つ独自のホルモン発見 大阪市大チーム

野中良祐
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 大阪市立大などのチームが、農作物の汁を吸うカメムシや、人の血を吸うトコジラミの仲間の昆虫が成長に関わる独自のホルモンを持つことを発見した。これらの害虫だけに効く農薬の開発につながる可能性がある。成果は3日、英国王立協会誌に掲載された。

 カメムシの一部は米に斑点を生じさせたり、果実の表面をでこぼこにしたりして、商品価値を落とす。トコジラミは寝具などに発生して人に腫れやかゆみなどの被害をもたらす。これらの昆虫はカメムシ亜目に分類される。

 これまで、昆虫の多くに同じ構造の「幼若ホルモン」が見つかっている。このホルモンは成長や脱皮に関係する。カメムシの一部は構造が異なる独自の幼若ホルモンをもつことがわかっていたが、カメムシ亜目に共通する特徴かどうかはわかっていなかった。

 チームは、ヒゲナガカメムシやトコジラミなどカメムシ亜目のうち31種類の虫のホルモン分泌器官を取り出し、それぞれ培養することで、解析に必要な大量のホルモンを抽出することに成功。ほかの昆虫のホルモンとは異なる、独自の構造のホルモンを持つことを見つけた。

 このホルモンは幼虫の状態を維持する働きがあり、脱皮して成虫になるタイミングで分泌されなくなる。脱皮前にこのホルモンを与えると、カメムシ亜目の虫は正常な脱皮ができずに死んでしまう。チームの後藤慎介・大阪市大教授は「昆虫の進化を探る基礎的な発見だけでなく、害虫以外には影響しない薬の開発に役立つ」と話している。ただ、絶滅が危ぶまれているタガメもカメムシ亜目に属しているため、使い方なども考える必要があるという。野中良祐