墨塗った裸の男衆、過疎化で回る先なく…奇祭が存続危機

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高橋昌宏
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男たちは家に上がると、次々と家族の顔に墨を塗っていく=2015年、宮城県加美町
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 宮城県無形民俗文化財に指定された奇祭で、今月中旬に予定されていた加美町の小正月の行事「切込(きりごめ)の裸カセドリ」が中止になった。担い手不足が深刻化し、継承団体は今年3月ごろの解散を決定。200年以上の歴史を誇る伝統が存続の危機に立たされている。

 「ホー、ホー」。奇声を発しながら、顔や体にヘソビ(墨)を塗ったさらし姿の男たちが集落を回る。家に上がると、中にいる人に「ご祝儀、ご祝儀」と言いながらヘソビをつけ、もてなしを受ける。カセドリは火よけと厄払いを願う風習で、初めての参加者などはわらの束をかぶり、ほかの者から水を浴びせられる。

 「コロナ禍での感染防止といった事情もありますが、決定的なのは担い手不足です」。中心的な役割を果たしてきた庄司新寿(しんじゅ)さん(63)は中止の理由をこう明かす。

 行事では、「宿」と呼ばれる主催者の家に男衆が集まって、各戸を回る。しかし、近年の参加は2軒。庄司さん宅が「宿」を務めるため、訪れる家は1軒のみだった。だが、その1軒も昨年の行事の後、地区外に移った。「主催者だけの家で行うのは無理がある」。コロナ禍や家庭の事情も加わり、昨年末に中止を決めた。

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頭にわらの束をかぶった男たちに水が浴びせられる=宮城県加美町提供

 担い手を増やそうと、地区外…

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