訪ね先の名前知らないタクシー客 連絡受けてピンと来た

里見稔
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 誰が住んでいるかもわからないという民家にタクシーで連れて行けという男に、ピンときたのは社長だった。警察と密な連携で、高齢者からキャッシュカードをだまし取ろうとした特殊詐欺の「受け子」逮捕につなげたタクシー会社長に2日、感謝状が贈られた。

 1月19日正午ごろ、長野市大豆島西沖にある旭タクシーの事務所に、運転手から客の目的地まで誘導してほしいと無線が入った。行き先は住宅街の民家。住人の名前は「わからない」という。社長の山岸雄一さん(42)は違和感を覚えた。

 犯罪に関係しているとの確信はなかったが、すぐに長野中央署に連絡。山岸さんは配車室のモニターに映るタクシーの位置を逐一知らせたが、声は緊張で震えていた。「この判断が正しいのかわからず怖かった」。15分後、民家の前で待ち伏せしていた警察官が受け子を確保した。

 高齢者への詐欺にタクシーが使われることが「頭にきた」と山岸さん。感謝状を贈った同署の熊谷猛彦署長は「100回、千回空振りしても1件でも防げればいい。協力に感謝します」とねぎらった。(里見稔)