医療者支援に47億円寄付集めた100歳、コロナで逝く

新型コロナウイルス

ロンドン=下司佳代子
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 新型コロナウイルスの患者を治療する医療従事者を励まそうと、自宅の庭を歩く挑戦と引き換えに約3300万ポンド(約47億円)の寄付を集めた英国の退役軍人の男性が、新型コロナに感染し、2日に亡くなった。100歳だった。欧州最悪の死者を出すなど厳しい闘いが続く中、人々を励ました「ヒーロー」の死に、エリザベス女王やジョンソン首相らも追悼し、悲しみが広がっている。

 ロンドン郊外ベッドフォードシャーに住むトム・ムーアさんは昨年4月、無料で医療を提供する国民保健サービス(NHS)のスタッフを支援するため、長さ25メートルの自宅の庭を歩行器を押しながら100往復することで、賛同者から募金サイトで寄付を募った。メディアで取り組みが紹介されると、当初の目標だった1千ポンド(約14万円)を大きく超えて、世界中から寄付が殺到。150万人以上から計3279万ポンドが寄せられた。

 「キャプテン・トム」の呼び名で親しまれた。ミュージカル歌手とデュエットした曲は英音楽チャートで1位となり、最年長記録を大幅に更新。4月30日の誕生日には15万通以上のお祝いカードが寄せられた。7月には、功績が認められ、エリザベス女王からナイト爵位を受けた。

 ムーアさんは数週間にわたって肺炎を患い、先週、新型コロナの検査で陽性となって、1月31日に近くの病院に入院した。英BBCによると、肺炎の治療で使われた薬のため、ワクチンの接種はできなかったという。英王室の報道官は、エリザベス女王が「全世界の人たちを奮い立たせてくれた」とたたえていることを明らかにした。ジョンソン首相はツイッターに「本当の意味で英雄だった。希望の光だった」などと語る動画を投稿。首相官邸では弔意を示す半旗が掲げられた。(ロンドン=下司佳代子)

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