「密漁者がいる」動画付き110番 逮捕につながる例も

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笹山大志
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 110番通報する人に、スマートフォンで撮った事件・事故現場の動画を送ってもらうシステムが、全国の警察で2021年度中に導入される予定だ。兵庫県警は昨年9月に先行して導入。初動対応に効果が出た一方で、プライバシー面の課題も指摘されている。

 「帰宅したら、見知らぬ男が部屋で寝ていた」。阪神地域の集合住宅の住人男性から昨年12月、110番通報があった。

 男性は、部屋から出て行く男の姿をスマートフォンで動画に撮っていた。通報のやりとりの中でそれを聞いた県警本部の通信指令室は、男性のスマホにショートメールで専用のURLを送信。男性がこのURLに動画を送ると、同室のモニターに映し出された。

 通信指令室は、動画の一部を切り出した静止画を地元の警察署と共有。通報から数十分後、署員が服装や体形などを手がかりに男を探し出した。男は「家を間違えた」と説明し、不審な点もなく、厳重注意したという。

 県警が昨年9月に導入したシステムは「Live(ライブ)110」。地理情報システムソフト会社「ドーン」(神戸市中央区)が開発した。

 このケースのように、事前に撮影した動画があれば送ってもらう。緊急性があり、その場での撮影が可能であれば、110番の通報者に撮影の協力を求める。現場の状況を撮影してもらえれば通信指令室のモニターで生中継され、警察官が現場の切迫感や警察官派遣の必要性を判断する。

 県警によると、1月末までの5カ月間で計22件で活用された。「鎌を持った男が歩いている」「密漁者がいる」などの不審者情報のほか、「車が電柱に当たって電柱が倒れそうだ」との事故情報など。うち3件では、逃走車両のナンバーが動画に映るなどしていたため、容疑者の逮捕につながった。

 県警は、この22件以外にも送受信を試みていた。ただ、通報者に操作方法がうまく伝わらなかったり、現場の電波状況が悪くて動画送信に失敗したりしたケースもあったという。

動画保存、プライバシーに課題も

 警察白書によると、2019年に全国の警察で、110番通報の受理から現場到着までにかかった時間の平均は8分9秒だった。

 事件や事故、火災に遭遇した…

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