バスツアーでお伊勢参り、オンラインで 赤福もみんなで

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甲斐江里子
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 「安全のためシートベルトの着用をお願いします」。聴覚障害者向けに伊勢神宮内宮前のおかげ横丁を紹介するバスツアーが1日にあった。コロナ禍で県境をまたぐ移動もしづらい今、リアルではなく、オンラインでの開催。現地からの中継を結び、参加者はパソコンやタブレットを通じて伊勢の雰囲気を楽しんだ。

 バリアフリー観光を推進する三重県の事業で、オンラインバスツアーに取り組んできた琴平バス(香川県)が「運行」。県内外の聴覚障害者ら15人がテレビ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って参加した。

 伊勢地域には毎月1日、早起きして神宮にお参りする「朔日(ついたち)参り」という習慣がある。ツアーは朔日参りに合わせて開かれる朝市の様子や、和菓子老舗の赤福が限定販売する「朔日餅」の買い方を案内。「『赤福』はこう手話で表します」。普段、手話で伊勢神宮の内宮や外宮を案内するボランティアグループ「いせてらす手話ガイド」のメンバー2人がおかげ横丁から中継し、朝の伊勢神宮近辺の様子を伝えた。画面には字幕が付き、県聴覚障害者支援センターが同時に手話通訳も実施した。

 ツアーは画面をただ眺めるだけではない。参加者の手元には事前に赤福餅や伊勢うどんが送られた。「今から10分休憩するので、その間に伊勢うどんを準備して下さいね」とツアープランナーが呼びかけた。休憩後には全員がうどんを食べながらスクリーンショットで「記念撮影」をするという仕掛けも盛り込まれた。

 ツアーを担当した琴平バスは昨年5月からオンラインのバスツアーを始めた。コロナ禍でリアルなツアーが難しい中、「おうち時間」を楽しんでもらおうという考えだ。琴平バスにとって、リアルで行う朔日餅の購入ツアーは主力商品の一つだった。オンラインで、さらに聴覚障害者向けのツアーという初めての試みを終えた楠木泰二朗社長(43)は「オンラインツアーは始まったばかりで、まだまだ可能性がある。将来の誘客にもつなげたい」と話す。

 参加者の多くからは実際に食べた伊勢うどんが好評だった。オンラインという新たな旅行の形だが、参加者の一人は「本当に観光した気分になった。リアルでも行ってみたくなった」と笑顔だった。(甲斐江里子)

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