「立春朝搾り」その日のうちに 岩国・酒井酒造から出荷

寺島笑花
【動画】立春の朝、搾りたて新酒を出荷=寺島笑花撮影
[PR]

 日本酒「五橋」で知られる山口県岩国市の酒井酒造で3日、「立春朝搾り」の出荷があった。もろみを搾り、立春の早朝にびん詰めした新酒を、その日のうちに客に届ける取り組み。全国の酒蔵や酒販店などでつくる「日本名門酒会」が1998年に始め、今年は全国44蔵が参加した。

 酒井酒造が参加するのは19回目。今回は720ミリリットル入りの「五橋」を1万1千本造った。酒米「山田錦」と「日本晴」を55%まで磨いて仕込んだ純米吟醸生原酒。今年の米は軟らかかったため、溶けすぎて味が濃くならないよう温度を低く調整したという。

 午前6時半すぎ。兵庫や島根など県外も含む30ほどの酒販店の店主らが続々と引き取りに訪れた。例年は手作業でのラベル貼りを店主らも手伝うが、今年は新型コロナ対策で機械での作業に。出荷作業の合間のおはらいでは、コロナ終息を願って疫病退散も盛り込まれた。

 今年144本を注文した広島市の酒販店「リカーショップイシカワ」の荒井崇さん(45)は「予約数は年々増えている。できたての酒をお客さんに届けたい」。酒井酒造の酒井秀希社長(54)は「今年は炭酸ガスが強く、フレッシュさが感じられる。コロナ禍で外に出られない状況だが、自宅で家族と一緒に飲んでほしい」と話した。

 新型コロナの影響で、酒井酒造の昨年4月の出荷量は前年比4割減。10月には「Go To トラベル」などで前年比120%と持ち直したが、11月から再び落ち込んだという。今年は創業150周年。業務部の大下勝己課長(48)は「厳しい状況は続くが、今まで通りやっていくしかない。おいしいお酒で少しでも幸せを感じてもらえたら」と話していた。(寺島笑花)