おいしさ余さず酒かすをスイーツに 福井大院生らが開発

大西明梨
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 酒かすを使った飲み物やスイーツを、福井大学大学院工学研究科・竹本拓治教授(47)の研究室の学生らが開発した。商品は12日から来月末まで、福井市足羽上町のカフェ「ASUWAYAMA DECK」で販売される。産業廃棄物となる酒かすについて、画期的な活用策がないのが現状だ。学生らのアイデアが突破口となるか。

 研究室では、2016年度から福井県永平寺町の酒蔵「吉田酒造」と連携。ものづくりに関する授業をしてもらったり、17年度には学生が田植えから販売までを担う純米大吟醸酒「福の愉(たのしみ)」を共同開発したりした。こうした中、課題として挙がったのが、日本酒の製造過程で大量に出る酒かすの有効活用だ。

 ビタミンB群など多くの栄養素が含まれる酒かすは国内で大量に発生しているが、甘酒やかす汁などに一部が利用されるのみという。化粧品などへの応用も行われているが、有効に活用できてはいないという。

 そこで、学生約20人が「栄養たっぷりの酒かすも味わって欲しい」と吉田酒造の酒かすを使い、ダイエットや美容を意識した若い女性がターゲットのスイーツ開発をスタートさせた。

 苦労したのは酒かすのパサパサした食感だ。カフェ側に意見を仰ぎながら、水に溶かしペースト状にすることで滑らかな口触りに。人によっては苦手な香りを抑えつつ、風味を残した。

 日本酒にも酒かすにもなじみがなかった学生たち。「研究室に香りが充満して大変だった」という中、約3カ月の試行錯誤の末に「酒粕(かす)スコーン」「酒粕クッキー」「酒粕ショコラテ」を完成させた。

 スコーンはプレーン(1個320円)とドライフルーツ入り(同350円)で、外はサクッと中はしっとり。クッキーはプレーン(5枚入り320円)と紅茶(同350円)で滑らかな口触り。ショコラテ(500円)は酒かすを裏ごししてつぶつぶ感を消し、チョコレートとの相性抜群のドリンクに仕上げた(いずれも税込み)。

 いずれも店内で楽しめ、持ち帰りもできる。開発者の一人、南知希さん(23)は「酒かすが苦手な方も食べやすいような開発を重ねました」と太鼓判を押す。今後も他の食品での応用など、酒かすに関する開発を続けていくという。竹本教授は「環境に優しく、これまで気づけなかった酒かすの魅力の発掘にもつながりました。日本酒がおいしい福井で、酒かすまで注目してもらえればうれしい」と話している。(大西明梨)