防塵マスクで出勤の医師、解雇は無効 さいたま地裁

新型コロナウイルス

新屋絵理
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 コロナ禍で防塵(ぼうじん)マスクを着けて出勤したら懲戒解雇された――。男性医師(49)がそうした理由での解雇は違法として埼玉県所沢市のクリニックを訴えた訴訟で、さいたま地裁(久次良奈子(ひさつぐ・らなこ)裁判官)は、解雇を無効とする判決を言い渡した。判決は、「奇異な風体で患者の不安を引き起こした」としたクリニック側の主張を退け、就業規則の懲戒解雇の理由に当たらないと判断した。

 1月28日の判決によると、医師は着任初日の昨年4月1日、防塵マスクと青いゴム手袋を着けて出勤したが、その日のうちに解雇を通告された。

 クリニック側は、発熱患者の出入りは制限しており「防塵マスクは必要なかった」と説明。患者から「感染者が出たのか」と尋ねられるなど損害を受けたとした。医師は、緊急事態宣言が出る約1週間前で「感染に注意する必要性が高かった」と反論した。

 判決は「防塵マスク装備によるクリニックへの損害や、患者への不都合が生じた証拠はない」と指摘。防塵マスクに代わる医療用マスクを用意しなかったクリニック側の対応や、マスクが入手困難だった当時の状況をふまえ、解雇を無効とし契約期間分の給与約2160万円の支払いをクリニック側に命じた。

 医師の代理人弁護士は「感染に不安を持つ労働者を問答無用で解雇しないよう、経営側は判決を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と話した。クリニック側の代理人弁護士は、控訴はしないとした上で「司法判断を重く受け止めた。地域医療に貢献していく」とした。(新屋絵理)

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