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 愛知県岡崎市の中根康浩市長(58)は1月25日の記者会見で、「選挙で公約した重要政策が実現できていないこと」を、改めてわびた。この日発表した「コロナ対策」は、売り上げが半減するタクシー会社への支援金や、感染者らへの買い物支援。3カ月前の市長選で、38万人の全市民に「とにかく5万円還元」するという柱の公約からは、もう距離を置く。

 中根氏が初当選した昨秋の市長選以降、市は「5万円」に大きく揺さぶられた。

 市長選の告示まで1週間を切ったころ、3選をめざした現職の内田康宏氏(68)の陣営幹部は、支援者が持ち寄った紙に目を疑った。各世帯の郵便受けに投げ込まれていた「5万円還元」のビラだった。

「5万円の市長はどっち」

拡大する写真・図版「とにかく全市民お一人に5万円還元!」と書かれた選挙パンフレット

 中根氏の選挙カーやのぼり旗には、「一人5万円」の大きな文字。計画が進むコンベンションホールの建設を見送って、「この税金を有効に使い、年末年始に向けて5万円をお返ししたい」という主張だった。期日前投票で、市のある幹部は「『5万円の市長はどっち』と話す住民の声を、頻繁に聞いた」との報告を受けた。

 内田氏は、与野党や業界団体などが支援し、選挙戦は盤石と見られていたが、3万票余りの差で敗れた。「大衆には魅力的で、わかりやすく、効果のある政策。中根さんは本当に上手に投票行動になだれを起こした」。内田氏は後に、敗因をこう振り返った。

記事後半では、岡崎市の「5万円公約」のその後や、兵庫県丹波市でもあった「5万円公約」の一部始終をお伝えします。両市長のインタビューも収録しています。

 中根氏はしばらく強気で、初登庁の日も、「独りよがりの付け焼き刃の選挙向け公約ではない」として、年内の支給にこだわっていた。「年の瀬の不安を解消して、正月を穏やかに過ごしていただきたい。クリスマスケーキを買って、シャンパンでも飲んで、孫にお年玉も用意できるでしょう」と。

 5万円を全市民に配るには、195億円の財源がいる。中根氏が根拠としたホール建設などに使う80億円は、現金として手元にはない。そこで、市が貯金している財政調整基金の81億円をすべて取り崩し、公園や文化施設の整備などにあてる五つの基金を廃止する案を市議会に提出した。

「独裁者ではないから…」

 しかし、議員や市民からは、こ…

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