がんとともにコロナ禍を生きる 強まる苦難、絆が救いに

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構成・南宏美、熊井洋美
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 コロナ禍でがん患者の苦難も強まっています。2月4日の世界対がんデーに合わせ、がんとともに生きる人たちに思いを聞きました。

「生きるためなら我慢できる」 2児の父、関直行さん

 昨年4月に緊急事態宣言が出た時はまだ新型コロナウイルスについてわからないことも多く、病院での感染リスクを避けるために膵臓(すいぞう)がんの抗がん剤治療を1回延期しました。

 治療間隔がいつもの2倍空くことになりましたが、病状が安定していたので、主治医と相談して決めました。

 感染拡大でがん医療を縮小した病院もあります。幸い私の治療延期は1回だけで、病院から延期を求められたこともありません。

 ただ、今後さらに流行が広がるとどうなるかわかりません。もし患者に優先順位をつけなければならなくなったら、「私の緊急度は低いですよね?」と診察のたびに主治医に冗談っぽく質問しています。

 「私の病状が安定しているならもっと重篤ながん患者を優先してほしい。でも、できれば延期したくない」という思いです。

写真・図版
関直行さん(左)と3歳の息子=2020年12月、本人提供

 コロナ禍で在宅勤務が増えました。3歳の息子は会話が成立するようになってきました。

 11歳の娘がその年齢の頃は仕事で忙しく、寝顔だけを見る生活でした。1週間ぶりに会うと、ぐんと成長していて驚いたこともありました。

 今は子どもたちと日々触れあって成長を見られるのがうれしいです。

 私たち家族はコロナ禍の前から手洗いや消毒、マスク着用などで感染症の予防に気をつけてきました。

 昨年の緊急事態宣言後は家族での外出を自粛し、スーパーに行く回数も減らしています。しかし、「第3波」が来ても旅行や大勢での会食をする人がいました。

 「新型コロナでは死なない」と考えているのかもしれませんが、すでに5千人以上が亡くなっています。

 膵臓がんのステージ4の5年生存率は約2%。もし新型コロナ感染症の生存率が約2%ならみんなもっと気をつけるでしょう。

 「何かを少し我慢して生きられるなら、我慢すればいいのに」と思います。

 我慢も慣れると日常生活の一部になるので、それほど苦しくない。がんになってからそんな経験をたくさんしました。

 子どもたちの成長を1日でも長く見ていたい。本が大好きな長女と図書館に行き、テーマパークや旅行に安心して出かけられる日まで、家族でできる限りの感染予防を続けます。

せき・なおゆき 43歳。2013年、膵臓(すいぞう)がんステージ4Aと診断される。17年に再発して以降は月1~2回通院し、抗がん剤治療を継続中。会社員で、3歳と11歳の子の父。子どもがいるがん患者に交流の場を提供する一般社団法人「キャンサーペアレンツ」の会員として活動している。

AYA世代がつながる場を」 患者会をつくった看護師、樋口麻衣子さん

 2012年、27歳で甲状腺がんが見つかり、手術を受けるために初めてストレッチャーに乗りました。

 ストレッチャーの上から見えた世界はとても怖かった。

 看護師として何度も手術室に…

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