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 新型コロナウイルスに感染し、回復したのにいつまでもうつすのではないかという周囲の無理解や偏見で、職場などへの社会復帰が難しいケースが出ている。国が定める療養期間を終えれば感染を広げることはないのに、検査での陰性証明などを求められるなどし、精神的な不調に至る人も多い。医師は「科学的根拠のない不安で感染者に接しないでほしい」と訴えている。

同僚に口止め「集客に影響」

 「陰性証明書を持ってきてくれないと……」

 都内の会社で営業職をしている30代の女性は、12月上旬にコロナに感染した。症状はほぼ無症状と軽かったため、自宅で療養。保健所からも、「症状が消えてから3日以上、かつ発症から10日以上」が経てば、通常の生活を送れると説明を受け、年末までに療養期間を終えた。

 だが、職場の担当者に「年明けから職場復帰したい」と申し出ると、予想以上の風当たりの強さを感じた。社内では自分だけ毎日在宅勤務が指示されるほか、これまで直接やりとりをしていた取引先から、面会の際には陰性証明書を持ってきてほしいと言われている。約束のあるときだけ、その都度PCR検査を受けることも考えたが、費用負担も少なくない。「私はいつまでウイルス扱いされるのか」と追い詰められ、睡眠薬の服用が欠かせなくなった。

記事の後半では、海外の研究などからみる新型コロナの感染性について、忽那医師に聞いています。

 都内の20代の女性も、療養期間後に精神的な不調に悩まされている。

 12月末に発症し、ホテルで療養期間を過ごした。症状が軽快したことから、1月中旬に療養期間を終えたが、「いつまで自分は感染源になり得るのか」という恐怖が抜けず、不眠や頭痛などの症状が続いている。同居する家族や恋人などが体調不良にならないか、常に自分のことを責める日々だという。「自分の体の中に、ずっとコロナという外敵がいるような感覚です」

 接客業の20代女性の場合は、感染した事実を職場の同僚に話すことさえできない。

 店の集客への影響を恐れる上司から、「ほかの従業員には体調不良と伝える」と強い口調で言い渡された。昨年末の発症後、療養期間をきちんと終えて職場復帰したのに。「感染した人が悪いよう。本来なら、正しい情報に基づいて冷静に対応することが重要で、私自身の感染の事実も含めて、職場で情報を共有すべきではないでしょうか」

後遺症外来、8割超「気分落ち込む」

 新型コロナに感染した人がいつまで療養すべきかは、厚生労働省が昨年6月25日付で基準を示している。例えば症状があった人でも「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間」がたっていれば、療養を解除することができるとしている。新型コロナの感染力は、発症数日前から発症直後が一番高いと考えられているほか、発症後7日程度で、感染力が急激に低下することがわかっているからだ。基準の「10日間」がたてば、人にうつす可能性はほぼないと考えられている。

 しかし、コロナ感染後の症状に悩む人を診察する医師からは、こうした基準が認知されていないことによる偏見が多いとの指摘が上がる。

 「コロナ後遺症外来」を設置し、新型コロナウイルスに感染した患者の後遺症に関する情報発信を続ける「ヒラハタクリニック」(東京都渋谷区)の平畑光一院長は、身体的な後遺症のほか、「陰性証明がないと復職させないといわれた」などの悩みを訴える患者の声をよく聞くという。

 コロナ罹患者には、療養期間後…

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